eコラム「北斗七星」

  • 2015.05.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年5月23日(土)付



以前、70歳を超えた「中学生」の方とお話ししたことがある。自宅にお邪魔すると、うれしそうに教科書やノートを引っ張り出し、一つ一つ見せてくれた。通信制中学のため、授業は週末に1回。あとはひたすらレポートをまとめる日々。初めての英語の授業。漢字は苦手、作文は大の苦手だったとか◆12歳で奉公に出されて以来、学びやからは遠のいていた。古希を前に一念発起したこの男性らが、悪戦苦闘しながらも中学を卒業、自らの意志で高校進学を決めるまでを追ったドキュメンタリーが昨年、NHKEテレで放映された◆公立では、通信制中学は現在、全国でもわずか2校を数えるのみ、夜間中学も8都府県にとどまる。社会動向を映してか、夜間中学に在籍する生徒の8割近くは外国人だが、それが設置の広がりを鈍らせる理由にはならない◆この国で暮らし、学ぶ意欲のある人には年齢や国籍に関係なく、等しくその機会を保証するのは当然である。公明党が全都道府県への夜間中学設置を訴える意義は大きい。早期実現を望む◆不登校などで中学に通いきれず、学校側の配慮で卒業した人は中学卒と見なされて、学び直すことができない。この点の早期見直しも、公明党は国に働きかけている。学びの場を得ることが、その人の人生をどれほど輝かせるだろう。(広)

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