e決裂したNPT 核廃絶論議に"空白"つくるな

  • 2015.05.26
  • 情勢/国際


公明新聞:2015年5月25日(月)付



国連本部で先月から開催されていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が合意文書を採択できないまま22日に閉会した。誠に残念である。


8月の広島、長崎両市の被爆70年を間近に控えた会議で、国際社会は「核兵器のない世界」に向けた確固たる意思を表明できなかった。


しかし、核軍縮、核廃絶をテーマにしたこの1カ月近い議論を無意味にしてはならない。再検討会議は5年に1回だが、核廃絶論議に今後5年の空白は許されない。


今回の会議では核保有国と非核保有国が激しく対立した。しかし、合意文書の草案段階では妥協を重ねながら一定の合意に達していた。決裂の直接の原因は中東の非核化構想であり、それ以外の議論の経緯と成果に注目しないのは消極的すぎる。


例えば、多くの非核保有国は核兵器禁止条約(NWC)を求めている。これについて草案は、「核兵器のない世界」に必要な「法規定の検討」を行う作業部会を国連総会に設置する方針を示していた。検討の具体例として挙げられたNWCは、核保有国の反対で削除されたが、確かな一歩といえる。


作業部会方式については、実効性が期待できないなどの批判もあるようだが、国際法と核兵器を議論する場を核保有国が認めたことは核廃絶論議にとって重要である。


公明党は3月、「核兵器のない世界」をめざす「実践的、具体的な法的枠組み」の「検討着手」で合意できるよう、政府に外交努力を求める提言を公表した。草案の「法規定」も、公明党の「法的枠組み」も同じ考え方である。核保有国と非核保有国が、法の下で核軍縮、核廃絶をどう進めるべきかを議論することがNWCにつながる。


また、非核保有国が3回開催した「核の非人道性会議」についても言及された。核保有国はこの会議を無視し、昨年末の第3回会議でようやく米英が参加しただけだ。会議を認知した意味は大きい。


国際社会は、草案の中で合意ができたところから実現に向けて努力する必要がある。特に核保有国は、前回2010年の再検討会議で約束した核軍縮の確かな前進を具体的に示すことが不可欠である。

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