e動き出す「地域医療構想」の策定

  • 2015.05.26
  • 生活/生活情報
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公明新聞:2015年5月26日(火)付



超高齢化見据え病床を再編

都道府県



都道府県は今年度から、10年後の医療需要を推計して効率的な医療体制の提供をめざす「地域医療構想」の策定に乗り出している。構想の概要を紹介するとともに、公明党地域包括ケアシステム推進本部の桝屋敬悟本部長(衆院議員)に課題など聞いた。



リハビリなど需要の変化に対応



地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上となる2025年の医療ニーズ(需要)を推計し、2次医療圏(入院治療など一般的な医療を提供する地域圏)を単位に必要な病床数を定めるのが柱だ。昨年6月に成立した医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県が順次、構想を策定する。


構想では、必要な病床数を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つの医療機能ごとに示すことになる。


昨年7月1日時点で医療機関が都道府県に報告したデータ(速報値)によれば、高度急性期の病床は19万1180床(15.5%)、急性期が58万1179床(47.1%)、回復期が10万9617床(8.9%)、慢性期が35万1953床(28.5%)に上り、重症患者や救急患者向けの急性期の病床が多くを占めている。


ただ、今後、高齢化が進展することで、骨折や肺炎を含めた高齢者特有の医療ニーズが増え、全体としてリハビリなど回復期の病床の需要が拡大していくと予想される。さらに個別の地域単位で見れば、人口の変動や高齢化率の差により、求められる医療に大きな変化が出てくるのは必然だ。


そこで現在、提供されている医療体制と将来の医療需要との開きを、いかに埋め、適切な医療体制の再編を進めていくかが、構想に期待されている。


厚生労働省は今年3月、構想を策定するためのガイドラインを作成。今月中にも将来の医療需要を推計するための計算データなどを都道府県に配る予定だ。


一方、構想の実現に向け、構想区域ごとに、医療関係者などを集めた「地域医療構想調整会議」が開かれることになっている。将来の病床の必要量を検討した上で、医療機関同士の協議により、病院の機能分化や連携について議論する。


構想の策定前に調整会議を設置する自治体もあり、徳島県は先月、県内の三つの2次医療圏で調整会議を発足させ、初会合を開催した。「構想策定の早期の段階から関係者の意見を反映させていく」(医療政策課)のが狙いだという。


また、都道府県は、消費増税分を財源とする「地域医療介護総合確保基金」を活用し、病床の機能転換に必要な資金援助などを行い、実現をめざす。



在宅医療の推進などで患者の受け皿づくりを



公明党地域包括ケアシステム推進本部長

桝屋 敬悟 衆院議員



超高齢化が加速する2025年に備え、持続可能な医療サービスを維持していくには、ニーズに応じた効率的な医療体制の再構築は避けては通れない課題です。その意味で、医療機能ごとに、必要な病床数を定める構想の実現は急がなければなりません。


ただし、各病床の再編は、病院の経営に直接絡む問題であり、構想の実現が難航する場合も想定されます。実効性のある内容とするためには、都道府県が、医療関係者らが協議する「地域医療構想調整会議」の場で、粘り強く合意を形成する主体的な関与が欠かせません。


一方、一部のマスコミには「再編に伴って病床が減り、行き場のない患者が相次ぐ」と不安視する報道が見られます。当然ながら、そのような事態があってはなりません。


地域医療介護総合確保基金などを使って、在宅医療の推進はもちろん、介護分野との連携強化など、さまざまな形で患者の受け皿を用意することが重要です。複数の病院などをグループ化し、病院間でベッド数を融通できるようにする「地域医療連携推進法人」の創設も、円滑な再編に向け活用していくべきです。


今後、都道府県で本格的な議論がスタートします。公明党地域包括ケアシステム推進本部としても、地方議員と連携しながら課題を詳細に検討し、構想の策定を積極的に後押ししていきたいと思います。

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