e後発医薬品の普及 医療従事者への情報提供さらに
- 2015.05.28
- 生活/生活情報
公明新聞:2015年5月28日(木)付
後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及率について、2020年度末までに80%以上に引き上げる新たな目標を厚生労働省が示した。17年度末に60%以上という従来の目標の大きな変更である。官民を挙げて、普及策を加速させていきたい。
後発薬は、先発薬と成分や含量が同等で、先発薬の特許権が消滅した後に別の製薬会社が製造・供給している。研究開発費用が抑えられるため価格は安くなり、患者の薬代の負担減につながる。増え続ける医療費の抑制も期待できる。
欧米諸国では後発薬の活用が進み、米国は約90%の普及率を誇る。ドイツ(約80%)やイギリス(約75%)でも普及率は高い。一方、日本では調剤薬局に調剤報酬を加点するなどの推進策が効を奏し、約47%までに上昇しているが、それでも欧米に比べると水準は見劣りする。
後発薬の認知度は徐々に高まっているが、品質や効果、副作用への不安を解消できず使用しない医療従事者も少なくない。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会の調べでは、院外処方箋を発行する医師のうち、約2割が後発薬を積極的に処方しないと答えている。
厚労省は、後発薬の有効性や安全性が担保されている点について、一段と説明責任を果たす必要がある。併せて、後発薬の使用状況を細かく調査して実態を把握すると同時に、医療従事者に使用するメリットなど必要な情報も積極的に提供してもらいたい。
欧米では、さまざまな取り組みを進めた結果、普及率が上昇した。米国では、政府機関が後発薬と先発薬の効果が同じであることを証明する判定結果を公文書(オレンジブック)に掲載して年1回発行、医師や患者に情報を分かりやすく伝えている。
フランスでは、医師や調剤薬局が後発薬を使用した場合に報奨金を設ける一方、患者が後発薬を拒否して先発薬を希望した場合は、一定の実費負担を定めるなど、積極的な使用に結びつくような制度を定めている。
欧米の取り組みも参考にしながら議論を進め、普及目標達成への道筋を付けるべきではないか。