eコラム「北斗七星」

  • 2015.05.29
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年5月29日(金)付



認知症や知的障がいによって判断能力が不十分な人に代わって、後見人が財産などを管理する成年後見制度。利用者は18万4670人に上る(2014年末)。日常の買い物や介護・医療を受けるにも、預貯金や、年金などの管理を任せられる人は欠かせない◆裁判所に後見人をつけるように申し立てるのは、子どもや親族(4親等以内)が大半を占めてきたが、ここにきて変化が。市区町村長によるものが制度発足の00年度0.5%から、09年9%、14年14.7%5592件と、急増した(最高裁資料から)◆背景には、身寄りのいない独り暮らしの高齢者の増加がある。親族を探して、後見や申し立てを依頼しても断られることが多い。高齢者への虐待を発見した病院や介護施設から自治体への通報が首長申し立てにつながるケースも◆専門の職員をおき、関係する医療・介護団体と連携して積極的に取り組んでいる自治体もある。ただし、ノウハウや、通常で数万~10万円程度の申し立て費用などもかかる。加えて無理解な親族などとの交渉も必要とされる◆首長による申し立てはいわば"最後の砦"。申し立てに至ったのは、極めて幸運なケースだ。安心の高齢社会のために欠かせない取り組みといえる。国、都道府県の支援や、関係機関との連携が強く求められている。(繁)

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