e自転車の運転 マナー向上させ、事故を防ごう

  • 2015.06.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年6月2日(火)付



信号無視などの危険な行為を繰り返す自転車運転者に講習受講を義務づける改正道路交通法が1日、施行された。これを契機に、社会全体で自転車マナーの向上を進めていきたい。


講習の対象となるのは、3年以内に2回以上、改正法が定める危険行為で摘発された14歳以上の運転者となる。これまでは、危険行為をしても警察による注意のみで済まされることも多かった。講習の義務付けで運転者の安全意識が高まると期待されている。


自転車運転で気掛かりなのが、死亡事故の増加である。昨年の自転車事故件数(10.9万件)は10年前に比べ約4割減っているが、自転車と歩行者、自転車同士などの死亡事故は6割も増えて82件に上る。免許もいらず、気軽に乗れるのが自転車の利点の一つだが、一方で危険な事故と隣り合わせにあることを忘れてはならない。


改正道交法が危険行為と規定する14項目は、信号無視のほか、酒酔い運転や歩道での歩行者妨害などだ。傘を差したり携帯電話を操作したり、イヤホンで音楽を聞きながら自転車運転し、事故を起こした場合なども対象となることがある。これらの行為は、しばしば見受けられるものだ。警察や自治体は制度の周知を徹底してもらいたい。


また、自転車運転者には、法律が定める危険行為に注意するだけでなく、普段からマナーの向上に努め、周囲に対する配慮も欠かさないよう呼び掛けたい。


急な飛び出しや狭い道でのすれ違い、たばこを吸いながら自転車に乗る運転などに、思わず身構えた経験がある高齢者や幼児、女性らは少なくない。また、実際に歩行者と衝突してけがを負わせながら、けがに気付かず走り去り、歩行者が泣き寝入りするケースもある。最近では、こうした事態に対し、高額の損害賠償請求訴訟が起こされることもある。


公明党は、2011年12月に政府に自転車の安全利用に関する提言を行って以来、一貫して環境の整備を訴えてきた。事故は、ほんの一瞬の油断で起き、人生を狂わせる場合もある。安全第一を徹底し、被害者も加害者も生まないための取り組みを進めたい。

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