eコラム「北斗七星」

  • 2015.06.09
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年6月9日(火)付



東日本大震災から50日目。通勤で使っていた仙台市地下鉄の全線運転が再開された日のことは忘れられない。失われた日常が戻ってくることは、うれしいものである。先月末、4年2カ月ぶりにJR仙石線が全線再開。新路線「仙石東北ライン」も開業し、仙台―石巻間が最速52分と震災前より約10分早く結ばれ、沿線住民の喜びは、ひとしおだ◆再開当日、沿線には、大漁旗を振りながら電車を見送る住民の姿も。再開区間の駅前で開かれた催しでは、人々の笑顔があふれていた。宮城県沿岸部の"交通の大動脈"の復活に対する期待は大きい◆かつて、奥松島の絶景を間近に望み、海の上を走っているかのようだった陸前大塚―陸前小野間は、内陸側の高台に移設。今、車窓に広がるのは、切り崩された山肌と防災集団移転団地の工事現場の光景である。住宅地から遠く離れた場所に移った野蒜、東名の両駅だが、通勤、通学で乗り降りする人の姿が戻ってきた◆真新しい東名駅で、住民の一人に話を聞くと「東名を取材してくれること自体がありがたい」との言葉が返ってきた。続けて「私たちが復興に立ち向かう姿を忘れないで伝えてほしい」と力を込めた◆あの3.11から、まもなく4年3カ月を迎える。過ぎた時を指折り数え、"忘れない"との誓いを新たにする。(川)

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