e学生の地方就職 自治体と大学の連携で推進を

  • 2015.06.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年6月10日(水)付



来春卒業予定の学生の就職活動が8月から選考開始となるのを控え、自治体が大学などと提携し、学生のUターン就職を促す動きが広がっている。


自治体は、大学を通じて求人情報やインターン(就業体験)先を学生に紹介するほか、地元企業による就職説明会なども積極的に開催している。自治体にとっては地域社会の人材の確保につながり、学生側は幅広い就職先を確保できるため、双方に利点が大きい。


ここ数年の民間企業の調査によると、Uターン就職のための活動をしたものの、最終的に断念した学生は、多い時で15%程度に上る。地方企業に就職するのが困難な要因として(1)情報が学生に届きにくい(2)都心と地方を往復する交通費が負担できない―などと指摘しており、就職活動を支援するための課題は明らかになっている。


自治体の中には、地元企業が開催する合同就職説明会の日程に合わせ、無料のバスを運行し、学生の交通費負担の軽減に取り組んでいる事例もある。


また、関西のある私立大学は12道県と協定を結び、Uターン就職を果たした先輩との懇談会を開催するなど、積極的に学生に地元企業の情報を届けている。その結果、就職した卒業生の約3割が、Uターン就職している。


他大学にも参考になる取り組みである。


一方、自治体には、国の政策を活用する積極性も求めたい。

文部科学省は、学生のUターンを支援するため、来年度から奨学金の「地方創生枠」を設けることを決めている。これは、特定の条件を満たす学生に無利子奨学金を優先的に貸与し、卒業後の一定期間、地元で働いた場合などに返済を減免する。公明党が推進している政策だが、先行して取り組む香川県では好評を博している。



先の調査によると、学生がUターン就職を考え始める時期は、3年生の6月以前が最多で3~4割を占めることが分かっている。自治体は、こうした学生の動きをしっかり把握し、適切に魅力を伝えるための情報発信も求められるだろう。

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