eコラム「北斗七星」

  • 2015.06.23
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年6月23日(火)付



妻は目が見えず、耳も聞こえない。丹後半島の集落で暮らす夫妻の姿を追ったNHKスペシャル「見えず 聞こえずとも~夫婦ふたりの里山暮らし~」の感動の余韻にひたっているとき、盲ろうの東大教授、福島智氏の新刊書『ぼくの命は言葉とともにある』に出会った◆現在、大学で「バリアフリープロジェクト」を進めている福島氏は、9歳で失明、18歳で聴力も失った。都議会公明党が、盲ろう者への支援制度実現の推進役を果たしたこともあって、本紙に登場してもらったことがある(その後、東京都盲ろう者支援センターも実現)◆同氏は、学生時代、友人の点訳によって吉野弘の「生命は」という詩を知る。「生命は/その中に欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ」の一節に大きな衝撃を受けた◆「障害をいのちが内包する広い意味での欠如の一形態として捉えるとき、この定義は、障害者を取り巻く問題が障害者だけの問題ではなく、障害の有無を超えて、すべての人間、すべてのいのちのありようと深くかかわってくることを示している」と感じたという◆誰もが互いに多様な在り方を認め合える共生社会をめざしている日本。2020年の東京五輪・パラリンピックへの準備を通して、さまざまなバリアを解消する取り組みを進めていきたい。(山)

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