e企業統治 経営の規律強化が信頼高める
- 2015.07.02
- 情勢/解説
公明新聞:2015年7月2日(木)付
先週末は上場企業の株主総会開催のピークだった。
株主への配当を増額する企業が相次ぐ一方で、知名度の高い名門企業の不振、自社製品の事故を招く欠陥や利益を過大に見せてきた不適切な会計処理で揺れる企業もあり、大きく明暗を分けた。
先月から、東京証券取引所、金融庁による企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の適用が始まり、上場企業は「株主の権利・平等性の確保」「情報開示と透明性確保」など、基本原則とさまざまな指針を順守することが求められている。昨年策定された「『責任ある機関投資家』の諸原則」と相まって、企業改革、株式市場改革が期待されているところである。
不祥事を招く企業では、情報開示が遅く、経営者が十分な説明を行っていないことが少なくない。「車の両輪」ともいうべき二つの指針、原則を定着させ、企業の体質強化や海外からの投資拡大を進めなければならない。
わが国の企業統治の弱さや遅れが指摘されて久しい。海外展開する大企業が、米国やアジアなどで、独占禁止法に違反して価格カルテルを結び、巨額の罰金を科される事例も後を絶たない。
こうした行為は、企業利益を損ね、日本企業へのイメージ悪化をもたらす。グローバル時代の最前線にいる大企業は、海外小会社を含め世界規模で企業統治の体制を強化しなければならないのである。
現代の企業は、消費者に利便性のある製品やサービスを提供するとともに、雇用の創出、社会保険の分担、投資家への利益還元などの役割を果たしている。
自公政権は、企業が「稼ぐ力」を強めることが、賃金上昇、消費拡大につながり、「経済の好循環」をもたらすとの視点から、法人税改革など企業への支援を続けてきた。その結果、現在、賃上げの中小企業への波及や、実質賃金の2年ぶり上昇、設備投資の増加による国内総生産(GDP)の押し上げなどが見られるようになった。
言うまでもなく、企業支援は経営者に甘い政策ではない。経営規律を強化し、株主や従業員、消費者などすべての利害関係者への責任を果たさなければならない。