eコラム「北斗七星」
- 2015.07.03
- 情勢/社会
公明新聞:2015年7月3日(金)付
クイズを一つ。朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足で歩く生き物は何か? 赤ちゃん(四つ這い)→成人(2本足)→高齢者(両足と杖)、人は年齢とともに歩行スタイルが変わるという説明を交えて、「正解は人間」と教えられた人は多いだろう◆実はこれ、紀元前のギリシャの書物「トラゴドゥメナ」に出てくる、謎解きを変形したものだ。私たちは、人間(2本足)らしく理性的に生きることもあれば、獣(4本足)まがいの蛮行にも出る。人間と獣の中間に位置づけられる「罪人」は、3本足の扱いになるそうだ。人間について考えさせる哲学的な問いかけといえよう。「オイディプスの謎」(吉田敦彦 青土社)で知った◆ギリシャが事実上の債務不履行(デフォルト)に陥った。5日には、欧州連合(EU)の財政構造改革案を受け入れるかを問う国民投票が予定されている◆結果によっては、ギリシャがユーロ圏を離脱するシナリオも考えられる。そうなれば、混乱が世界経済に飛び火しないか、いや影響は限定的、と金融市場では悲観論と楽観論が飛び交う◆放漫な財政運営やポピュリズム(大衆迎合)政治に走った歴代ギリシャ政権の責任は横に置いて、今は目の前の火種を消す妙案を探すべきだ。難しい謎解きだが、蛮行は慎み、理性的に答えを見つけてほしい。(明)