e「自衛の措置」に限定
- 2015.07.09
- 情勢/社会
公明新聞:2015年7月9日(木)付
砂川判決は他国防衛認めず
集団的自衛権で法制局長官
衆院平和安全特委で北側副代表が質問
8日の衆院平和安全法制特別委員会で公明党の北側一雄副代表は、安全保障環境の変化を踏まえ、自衛の措置(武力行使)の新3要件【→詳細】を含む法整備の必要性を訴えると同時に、国連憲章51条の集団的自衛権と、平和安全法制に盛り込まれた自衛の措置の関係について政府の見解を求めた。
北側副代表はまず、わが国をめぐる安保環境が厳しさを増す中、「日米防衛協力体制の信頼性、実効性を向上させて紛争を未然に防止していく」と法整備の目的を強調。環境変化の一番の要因として「軍事技術の著しい高度化」を挙げた。
中谷元防衛相は、北朝鮮における弾道ミサイル関連技術の飛躍的向上や、核兵器の小型化実現の可能性を指摘。弾道ミサイルの脅威に関しては日米が協力して対処していることを説明した上で、わが国防衛のために日本近隣の公海上で警戒監視をしている米艦船が攻撃を受けた場合に共同対処の実効性が損なわれるため「これを排除する必要がある」と述べた。
これに関し北側副代表は、そのような活動を公海上でしている米艦船に武力攻撃があった際に、個別的自衛権で対処した場合の国際法上の問題点を確認。
岸田文雄外相は、本来、集団的自衛権で対処すべき事態に日本独自の解釈により個別的自衛権で対処した場合、「わが国に対する武力攻撃が発生していない段階で武力行使を行うことになりかねず、結果として国際法に違反する恐れが生じる」との認識を示した。
一方、北側副代表は、自国防衛であっても「国際法上は集団的自衛権が根拠となる」場合があるため、昨年7月の閣議決定で自衛の措置の新3要件を定めたことに言及。その上で、政府が自衛の措置の根拠としてきた砂川判決が集団的自衛権をどう考えていたかを聞いた。
横畠裕介内閣法制局長官は、砂川判決が「他国防衛の権利としての集団的自衛権を念頭に判示をしているという所までは認めがたい」と強調。さらに、「判決自身が論じている自衛権は、あくまでわが国自身の防衛のための自衛権」であり、国際法上の概念として「わが国が危機に瀕した場合の、今回新3要件で示しているような限定された集団的自衛権の行使までは、その射程に入っている」と明言した。
これを踏まえ北側副代表は、「現在の安全保障環境から見れば、いまだわが国に対する武力攻撃に至っていない状況でも他国に対する武力攻撃があり、これによってわが国の存立と国民の権利が根底から覆されることが今の安全保障環境の下ではあり得る」との認識から新3要件を定めたと、法整備の意義を訴えた。