e生活困窮者に支援の手
- 2015.07.10
- 生活/生活情報
公明新聞:2015年7月10日(金)付
新制度開始から3カ月
相談窓口、義務化で充実
働きたくても働けない、働いても最低限度の生活を維持できない―。貧困の連鎖などを背景にして、経済的に困窮する人を生活保護に至る前段階から支え、自立できるように多方面から後押しする「生活困窮者自立支援制度」がスタートして3カ月がたった。制度の内容と実施事例などを紹介する。
家賃助成で離職時の住宅確保
子どもの学習 無料塾で後押しも
4月から始まった支援制度で大きく変わったのは、福祉事務所のある都道府県や市など約900の自治体に、生活相談に応じるワンストップ型の窓口の設置を義務付けたことだ。窓口では、相談者の状況に合わせた支援プランを作成。専門の支援員が福祉事務所などと連携の上で、解決に向けた取り組みを進める。
生活の土台となる住まいの支援も自治体に義務付けた。離職などで住居を失ったり、失う可能性がある人に対し、一定期間、家賃相当額となる「住居確保給付金」を支給し、就職に向けた支援を行う。
一方、自治体の判断で行える支援メニューとして、職業訓練などの就労支援や、ホームレス状態にある人などに一時的な住居や食料の提供、借金整理など家計の相談・指導、生活困窮世帯の子どもの学習支援などを設け、国が費用の2分の1~3分の2を補助する。
厚生労働省が6月に発表した、4月の相談件数は全国で2万3019件。また、新制度が始まった4月以降、自治体の判断で行う支援事業を一つ以上実施しているのは493自治体に上っている。
生活困窮者は複合的な問題を抱えているため、行政の横断的な対応が欠かせない。滋賀県野洲市では、関係部署が緊密な連携を取り、住民税や水道料金の滞納状況などの行政情報をもとに、生活困窮者を早期発見する取り組みを実施。支援員が家まで出向く「アウトリーチ型」を実践し、中学生向けの無料塾も好評だ。また、静岡県富士宮市では、高齢者向けの相談窓口である地域包括支援センターに新たに支援員を配置して全世代的に相談に応じる体制を整えている。
公明党は、生活困窮者の自立支援について、生活保護に陥る手前のセーフティーネット(安全網)と位置付け、制度の狭間で苦しんでいる人を支えるために積極的に推進してきた。
2012年7月、公明党の山本香苗参院議員(現厚労副大臣)が国会質問で、自治体の先進事例を紹介し「生活困窮者を地域で支えるネットワークを丁寧につくっていくべきだ」と制度化を提唱。13年3月には、公明党の厚労部会と生活支援プロジェクトチーム(PT)が政府に対し、きめ細かな相談体制の整備や子どもへの学習支援など生活困窮者の自立を促す法整備を急ぐよう要請。13年12月に「生活困窮者自立支援法」が成立した。
今年2月の参院代表質問では、公明党の山口那津男代表が、同法の4月施行について、「包括的な相談支援や就労支援などを実施することが重要だ」と訴えた。