eコラム「北斗七星」

  • 2015.07.13
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月11日(土)付



那覇市の代表的な台所「第一牧志公設市場」。南国らしい色とりどりの魚が所狭しと並ぶ。中でもチラガー(豚の顔)とテビチ(豚足)の存在感は圧倒的だ。沖縄では「鳴き声以外は全て食べる」と言われるほど、食文化に豚は欠かせない◆そんな豚も70年前の沖縄戦で数える程度に激減。戦後の沖縄は食糧難に陥った。この危機に立ち上がったのが米国・ハワイのウチナーンチュ(県系人)だった。こんな逸話がある◆焦土と化した故郷の惨状を聞いたハワイのウチナーンチュは寄付を募り、豚550頭を購入。1948年、船で28日間かけて沖縄に届けた。4年後、豚は10万頭に拡大。沖縄の復興を支えたと言われている。故郷を思う"絆"の強さを象徴するエピソードだ◆今年は沖縄県とハワイ州が姉妹都市となって30周年。今月、ハワイで記念行事が開かれる。デービッド・イゲ州知事は沖縄出身の祖父母を持つ、れっきとしたウチナーンチュ。10月に自身のルーツの沖縄を初訪問する予定だ◆沖縄は日本有数の移民県で有名。現在、世界中に36万人超のウチナーンチュが存在する。ゆいまーる(相互扶助)精神が根付くウチナーンチュの絆は強固だ。このウチナーンチュのネットワークがあれば、この先も沖縄は、どんな困難でも助け合い、乗り越えていくに違いない。(治)

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