e国外犯罪被害に見舞金

  • 2015.07.15
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月15日(水)付



死亡200万、重度障害100万円

党政調が法案了承 テロ増加などに対応



公明党政務調査会(石井啓一会長)は14日の政調全体会議・部会長会議合同会議で、国外で犯罪被害に遭った被害者や遺族に見舞金を支給する「国外犯罪被害弔慰金法案」(議員立法)を了承した。続く与党政策責任者会議でも了承された。


同法案は、被害者や遺族に死亡時200万円、両目の視力を失うなどの重度障害(障害等級1級)で100万円を支給するもの。現在、国内の犯罪被害者に対する支援制度はあるが、犯罪被害について詳細な事実調査を行った上で給付金を支給するため、事実調査が難しい国外での犯罪被害は対象外となっている。


国外での犯罪被害は、1980年代後半からの海外旅行ブームなどによる渡航者急増に比例して増加。2013年に国外で日本人が犯罪被害を受けた事件は5746件に上る。このうち死亡者は近年、年間20人前後で推移している。具体的に支援への議論が進んだきっかけは、13年にアルジェリアで発生したテロ事件や米領・グアムで発生した無差別殺傷事件など、日本人が国外で犠牲になる事件が相次いだことだ。


既に主要国では、国外の犯罪被害者支援策が整備されている。米国や英国は国外でのテロ被害に遭った国民に補償する制度を実施。フランスは国内外問わない制度を設ける。ドイツは条件付きで国内と同様の支援を行っている。



支援策50年前から公明推進



公明党は、1960年代から政治の光が当てられていなかった犯罪被害支援策に取り組み、80年の国内の犯罪被害者等給付金支給法の成立へとつなげた。その後も給付額引き上げや支給対象拡大などを推進した。


国外の犯罪被害者支援については、2014年1月に「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな経済的支援制度に関する検討プロジェクトチーム」(PT、高木美智代座長=衆院議員)を設置し、関係団体からヒアリングなどを実施。議員立法を進めるために与党や超党派の合意形成をリードし、重度障害を見舞金の対象とすることなどを積極的に進めた。


高木座長は、「海外で多くの日本人が活躍する時代になり、犯罪被害に遭われた方々に対し、連帯共助の精神から見舞金をお渡ししたい」と語っている。

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