eコラム「北斗七星」

  • 2015.07.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月17日(金)付



国家主義を復活させないため、「(日本は)教育に政治的教化を持ち込まない政策を厳重に守り続けてきた」。1971年に来日したOECD(経済協力開発機構)の教育調査団に対し、当時の文部省幹部はこう力説している(深代惇郎訳『日本の教育政策』)◆ただ、子どもたちに主権者としての自覚を持たせる教育は進まなかった。総務省の「常時啓発事業のあり方等研究会」は「新しい主権者像が求められている」として、最終報告書(11年12月)をまとめた◆それを受けて、現在子ども議会や模擬投票、出前授業など、学校現場で活発な試みが広がっている。しかし、心配もある。埼玉大学の松本正生教授によれば、さいたま市の市立高校4校の生徒を対象にした意識調査(09年10月)では「18歳選挙権」について「必要ない」が多数を占めた◆同教授は高校生の段階で、政治不信や政治的無力感が存在していることを憂慮し、「小中学校レベルの早い段階からの本質的な政治・選挙教育」の必要性を指摘している(月刊公明14年11月号)◆米国やフランスなどでは、両親の政治的価値観が子どもに伝わり、成人に達してからの投票行動にも影響を与えることが知られている。親の世代が、高い資質を持った有権者になることが、次世代の有権者を育てることになるはずだ。

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