eオワハラ 学生からの相談に万全の対応を
- 2015.07.21
- 情勢/社会
公明新聞:2015年7月18日(土)付
来春の入社をめざして就職活動を行う学生にとって、重要な時期に差し掛かる。
8月1日から、日本経済団体連合会(経団連)に加盟する企業が、面接などの選考をスタートさせる。昨年までは4月から行っていたが、就職活動が学業に影響を与えないように政府から採用活動の時期を遅らせる要請を受けて対応したものだ。
ただ、採用日程の解禁日は従来通り10月1日なので「短期決戦」となる。多くの学生は焦りや不安が募るだろうが、悔いなく活動して希望する就職先を決めてもらいたい。企 業は、学生に対して積極的な 情報提供を心掛けてほしい。
既に、外資系や経団連に加盟していない企業は、採用活動を進めており、「内定」や「内々定」を出している企業もあるという。加えて、自公政権の経済政策が功を奏して、景気が好転、近年にない人手不足に伴う採用増で「売り手市場」とされる。
このため、企業が「内定者」に就職活動を継続しないよう圧力をかけて有能な人材を確保する「就活終われハラスメント」(オワハラ)が問題化している。
文部科学省カ5月中に行った調査で、75件のオワハラが判明。来春の就職を希望する学生3 8 8 7人を対象にした調査結果であり、この数字は、学生全体から見ると氷山の一角に過ぎない。採用活動が本格化すると、さらに増える恐 れがある。
企業の都合で学生の自由な就職活動が阻まれることはあってはならない。倫理違反であることを企業は強く自覚すべきだ。その上で、大学の担当部署は学生からの相談に迅速に応じるなど、対応に万全を期すよう求めたい。
一方で、今回の採用活動時期の変更に伴う課題も出てきた。先の文科省の調査では、前年度より就職活動期間が「長期化している」と答えた 大学・短大は約6割に上った。3年生の夏に行われることが多いインターンシップ(職業体験)を就職活動の実質的なスタートに位置づける学生が多いためで、選考時期が遅くなったことで、かえって活動期間を長く感じるのだろう。
学生が学業に十分取り組めるようにするため、大学と企業が話し合う努力も必要だ。