e若者の声、地方版戦略に反映
- 2015.07.21
- 情勢/社会
公明新聞:2015年7月21日(火)付
人口減少対策で自治体苦心
人口減少の克服に向け、政府が要請している「地方版総合戦略」 策定に当たる地方自治体では、役所の外にアイデアを求める動きが目立つ。若者に住み続けてもらうにはどうしたらよいか―。若者の声を直接聞き、戦略に反映させようと苦心する自治体も多い。
青森県藤崎町は「若い人がずっと町で暮らし、子どもを産み育てていきたくなるような施策が求められている。若い人の忌憚のない意見を戦略に反映したい」との考えから、戦略を話し合う会議のメンバーに大学生を加えた。
今月10日の初会合では、大学教授や商工会会長ら地元の名士と共に、町出身で東北女子大学1年の工藤幸恵さん(19)が出席。工藤さんは、移住や定住を促すため、農業の魅力を高める必要性を挙げ、「農業の魅力を理解するには農業に接する機会を増やすことが大切。小学校での農業体験はとても良い機会だが、多世代、親子で体験できる場があってもいい」などと提案した。
栃木県では、県内25市町のうち策定済みの那須塩原市を含む17市町が10月末までに策定する方針を示している。結婚・子育てに関する若者の意識調査や企業からのアイデア募集などを実施、戦略に生かすという。さらに、ほぼ全ての市町が、民間のコンサルタント会社などと業務委託契約を結び、調査の分析や策定作業を進めている。
滋賀県の近江八幡市は、策定に当たり、学識経験者や企業代表らでつくる「市民会議」のほか、「人口減少・若者女性活躍」「創造的人材育成」など7分野の専門部会を設け、計160人規模で多角的に議論を進めている。同県日野町の場合、人口の動向を探るため、町内にある県立高校の全校生徒を対象にアンケートを行ったりしている。
策定に向け知恵を絞る自治体がある一方で、小規模な自治体では人材やノウハウが乏しいのが実情で、政府は策定作業を個別に支援していく方針を打ち出している。