e世界の貧困削減 民間活用し支援資金創出を
- 2015.07.21
- 情勢/社会
公明新聞:2015年7月21日(火)付
世界の貧困人口の削減など、21世紀の国際社会がめざすべき指針を示した「ミレニアム開発目標(MDGs)」が、今年末に達成期限を迎える。その後継となる新目標の策定を9月に控え、国際交渉が活発化している。
国連によると、MDGsが掲げる「1日1.25ドル(約155円)未満で生活する極度の貧困人口を、1990年比で半減させる」との目標は達成できたという。世界の極度の貧困人口は現在、約8億人。90年の19億人程度から半数以下に減った。
しかし、アフリカのサハラ砂漠より南の地域(サブサハラ)では、目標が達成できていない。この地域の極度の貧困人口は現在、約4億人で世界の同人口の半分を占め、90年の5億7000万人から3割強の減少にとどまっている。
同地域には、途上国の中でも、特に開発が遅れている48カ国のうち、33カ国が集中する。最貧困層が暮らす地域の貧困削減に力を入れなければならない。
9月に策定される新目標では、あらためて貧困の撲滅を掲げる。また、自然災害の被災者が貧困状態に陥ることを深刻視し、防災・減災に関する目標も加わる予定である。
ただ、国連貿易開発会議によると、新目標の達成には年間約410兆円以上が必要といわれており、その資金の確保は容易ではない。
国連が今月開催した開発資金国際会議には、日本や世界銀行など210の国や国際機関が参加。資金確保の具体的な手段を盛り込んだ行動計画に合意した。
特に、同計画が民間の財団を活用した投資などで途上国を支援する「革新的資金創出」の仕組みを重視していることに注目したい。
例えば、日本政府は、マイクロソフト社のビル・ゲイツ元会長が創設した慈善基金団体と連携。パキスタン政府に約50億円を貸与し、ポリオの感染を予防するワクチンの定期接種を支援している。接種率の向上などの成果が出れば、ゲイツ氏の団体がパキスタン政府に代わり、日本政府にお金を返している。
日本はこうした政府と民間が連携する取り組みを今後も増やしていき、世界の貧困削減に一層貢献したい。