eコラム「北斗七星」

  • 2015.07.22
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月22日(水)付



白球を追うひたむきさが観衆を魅了する高校野球。今年で100年の節目を迎える◆全国中等学校優勝野球大会の名称で、第1回は10校が出場して、1915年8月に大阪の豊中グラウンドで開催された。24年には春の選抜大会もスタート。同年には甲子園球場が完成し、多くの名選手を生んでいくが、戦争の暗雲の中で42年から4年間(選抜は5年間)は中止に。この間、沢村栄治投手ら戦火に散った元球児たちの無念は計り知れない◆大会の再開は46年8月。「『こんな幸せがあるのだろうか』。行進しながら、東京高等師範学校付属中(現筑波大付高)の二塁手、竹田晃(84)は喜びに震えた」(朝日新聞 2月6日付)。高校野球の復活に胸を躍らせる当時の球児たちの心境が伝わる◆東日本大震災の直後だが、開催に踏み切った2011年の選抜大会。創部1年で初出場した創志学園(岡山)主将の選手宣誓が忘れられない。「私たちは16年前、阪神・淡路大震災の年に生まれました」「人は仲間に支えられることで、大きな困難を乗り越えることができると信じています」「生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います」◆今夏も、来月から甲子園の舞台で球音が鳴り響く。仲間を信じ全力で闘う球児たちの熱いドラマに声援を送りたい。(紀)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ