eコラム「北斗七星」

  • 2015.07.29
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月29日(水)付



最近、聞いたことがない鶏の鳴き声。少年の頃、夜明け前になると近所の鶏小屋から「コケコッコー」と聞こえてきたものだ。ところが、この鳴き声、言語によってだいぶ違うらしい◆英語では「コックヮドゥードゥルドゥ」。片やロシア語では「クカレクー」と、かなり変わる。「どの発音が実際の音や声に近いと感じるかは、その言語の使用者の感性に任されている」と、山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)で理由を教わった◆文化の一断面とも言える異なる表現。そんな"壁"も国情の違いも、宇宙ではかすんでしまうものなのか。油井亀美也さんらを乗せたソユーズ宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に到着。任務が始まった。同乗していたのは米国とロシアの宇宙飛行士だ◆実は油井さんらには、重要な目的がある。正体不明の「暗黒物質」の検出だ。あらゆる物質は水素や炭素など元素の組み合わせでできているはずだが、宇宙全体の重さの4%にすぎない。残りは暗黒物質と、宇宙の膨張を加速させる暗黒エネルギーで構成されている◆とりわけ、暗黒物質がなければ星は生まれず人間も存在しなかったと聞く。宇宙研究における国際協力の柱、ISS。45歳の油井さんにとっては文字通り「四十にして惑わず」(孔子)の心境だろう。"暗夜"を照らす成果を、と願う。(田)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ