e食品の国際認証 中小事業者の取得促す支援策を
- 2015.07.30
- 情勢/解説
公明新聞:2015年7月30日(木)付
農林水産物の輸出拡大に向け、国内事業者の国際認証取得を後押ししていきたい。
昨年、日本の農林水産物輸出額は6000億円を超え、過去最高を記録した。農水省が今月公表した資料によれば、今年5月までの段階で前年比約8%の伸びとなり、力強い拡大を続けている。
一方で、国境を越えた食品の流通が活発な欧米では、食品の安全性を分かりやすく示すため、米国が開発した食品衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)認証の取得を取引の条件とする国も多い。
これまでの日本は食品の輸入が多いため、事業者の認証取得は遅れている。例えば、欧州連合(EU)向けハサップを取得した水産加工施設は昨年度末時点で中国680、ベトナムが461あるものの、日本は35にとどまる。
このため、和食のだしに欠かせない、かつお節は国産品をEUに輸出できない。食をテーマに開催されているミラノ万博では、公明議員の働き掛けもあって万博期間内は会場への持ち込みが認められたが、EUに進出している和食事業者は化学調味料や、魚の骨をあぶっただし、国産とは風味が大きく異なる外国産かつお節などを使わざるを得ないのが実態だ。
かつお節以外にも、国産品を輸出できない食品は多い。世界的な和食ブームが続く今、本来の味を伝えられないのはあまりに惜しい。外国産素材の多用は、国内事業者が取引機会を逃していることに等しい。
国際認証の取得は、多数の人々が来日する東京五輪にも影響しよう。2012年のロンドン五輪では、農産品の国際認証であるグローバルGAP(ギャップ)を採用した。16年リオ五輪も、会場で使う水産物は国際認証を取得したものに限る方向だ。国際的な取引やイベントの現場では、食品の国際認証取得は前提条件になりつつある。
公明党が6月に政府に申し入れた成長戦略の提言に、国際認証の取得推進を盛り込んだのはこのためだ。
認証取得には、2年程度の期間や多額の費用が掛かるとされ、特に中小事業者の負担は重くなる。政府は、中小事業者への啓発と負担軽減策を積極的に進めてほしい。