eがん教育」で命の大切さを

  • 2015.08.03
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年8月2日(日)付



正しい知識 親子で学ぶ



がんに対する正しい知識を学び、命の大切さについて理解を深める「がん教育」が現在、全国の教育現場などで活発に行われています。京都府など各地の取り組みを紹介するとともに、がん教育を推進してきた公明党の動きについて、党がん対策推進本部長の古屋範子副代表のコメントを掲載します。


京都府の夏休み子ども教室


病院で医療機器の見学も


「症状がない状態で、がん検診を受けて初期のがんを見つけました」と語るのは、がん経験者の松本博志さん(52)。発見当初は「がん=死」との思い込みから落ち込んだものの、その後、家族を通じて"早期発見すれば治る病気"だと知り、手術を決意。今では、元気に働いているということを報告しました。


これは、京都府が府立医科大学附属病院と共催で、7月26日に開いた、家族と一緒にがんについて学ぶ体験型イベント「夏休みこども『がん教室』」での一幕。府では2013年度から「生命のがん教育推進プロジェクト」を実施しています。これまで府内の小中高100校以上で出前授業を行っています。今回の教室は特別企画で、23組の児童と保護者が参加しました。


教室では、同病院消化器内科医の吉田直久さんが、がんの基礎知識を丁寧に説明。「がんの早期発見には定期的な検診を」と呼び掛けました。また、同病院栄養管理部技師の明石有佳さんから、がんの予防として、バランスの取れた食生活の必要性などについて説明がありました。


参加者は、同病院内のがん検診・治療に使う医療機器などを見学。抗がん剤の注射や点滴を行う外来化学療法センターでは、患者がリラックスできる雰囲気に、参加者から「イメージが変わりました」との感想が。放射線治療に使う医療機器では、放射線の照射範囲を、がんの形に合わせて自在に変える技術を聞きました。内視鏡室では、親子が協力してシミュレーターを使い、大腸の模型からポリープを取り除く体験を行いました。


参加した小学5年の黒田真理乃さんは「勉強になりました。内視鏡の操作が意外と難しかったです」と述べ、お母さんも「普段見ることがない機器に触れることで、実感が湧きました」と話していました。小学6年の児童と参加した京都市内在住のお母さんは「がんに対する正しい知識を学ぶ良い機会になりました。家族みんなで話し合いたいです」と語っていました。



各地の取り組みから


独自に教材を作成、小中高で出前授業など多彩


公明党の推進で特色あるがん教育が展開――。文部科学省は2014年度から、「がんの教育総合支援事業」の一環として、一部自治体の学校でモデル事業を実施し、多彩な取り組みが行われています。


北海道は、専門医による、がん教育の出前授業を小学校9校で開催。児童は、クイズ形式で予防法などを学ぶとともに、家族宛てのメッセージカードを作成しました。


茨城県では、中学と高校の計14校で、専門医らによる講演会を行いました。生徒へのアンケートによると、「がん検診は大切だという、生徒の意識の変化が見られました」(県担当者)。


全国に先駆けて、がん教育の普及を進める香川県は、独自の教育プログラムを作成し、小中高校で授業を実施。さらに、教員向けの「がん教育の手引き」を全公立小中高校に配布しています。


がんの正しい知識とともに、"命の大切さ"を理解してもらおうと、福岡市は、がん経験者を招き、小中高校各1校で講演会などを開きました。今年度は実施校を増やして開催する予定です。


モデル事業以外でも、名古屋市は独自に保健学習の生活習慣病の授業で活用する副教材【写真】を、全小中学校に配布。がんについてイラスト入りで分かりやすく解説しています。


専門医の活用など 全国展開に力注ぐ
公明党がん対策推進本部長 古屋範子副代表(衆院議員)


子どもたちが、がんを正しく理解することは、生活習慣の改善や喫煙の防止だけでなく、将来的に検診受診率を向上させ、がんとの共生社会を築いていく基礎になります。


公明党は、がん対策基本法制定(2006年)や、がん対策推進基本計画(07年度から5カ年)の策定を主導し、国を挙げた、がん対策を進める中で、がん教育については、第2次基本計画(12年度から5カ年)に「がんの教育・普及啓発」を初めて盛り込ませるなど、国の取り組みを大きく前進させてきました。


政府は「がん対策加速化プラン」の年内策定をめざしていますが、党として、がん専門医や経験者といった「外部講師」を活用した、がん教育の全国展開を急ぐよう、強く要望していきます。

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