e原爆の日 核廃絶へ日本の発信力高めよ
- 2015.08.06
- 情勢/解説
公明新聞:2015年8月6日(木)付
きょう6日は広島、9日には長崎が70回目の「原爆の日」を迎える。原爆の犠牲者を悼むとともに、唯一の被爆国として核廃絶への決意をさらに新たにしたい。
人類史上初めて投下された原爆は、強烈な熱線と放射線、爆風が街を一瞬にして破壊、当時の広島と長崎を合わせて約21万人といわれる尊い命を奪った。
被爆者健康手帳を持つ人は、ピーク時の約37万2000人の半数を下回る18万4000人程度にまで減少した。平均年齢は同手帳が交付されて以降初めて80歳台に達し、原爆の惨禍をどう継承していくかが鋭く問われている。
被爆70年の大きな節目だが、核軍縮の目立った成果は出ていない。5年に1度、多国間で核軍縮を協議する核拡散防止条約(NPT)再検討会議が今春開かれたものの、議長の最終文書案を採択できなかった。
世界の核兵器は今、1万6000発近くに上るといわれる。その9割以上を保有する米国とロシアの間で、配備済みの戦略核弾頭を削減する条約が4年前に発効。核兵器削減に向けたムードが一時的に高まったが、ウクライナ情勢を巡って両国の対立が激化し、核軍縮は滞っている。
状況を変えるには、被爆国・日本が発信力を高め国際世論に訴えるしかあるまい。今月下旬、国連軍縮会議が広島で、11月は核兵器と戦争の廃絶をめざす科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」の世界大会が長崎で開かれる。いずれも、被爆地への会合誘致を求めた公明党の提案が実ったもので、原爆の悲惨さを実感してもらう好機だ。
また、広島と長崎で行われる今年の原爆の日の式典は、米国の軍縮問題を担当するガテマラー国務次官がケネディ駐日大使と参加する。米政府高官が式典に参加するのは初めてで、その意義は大きい。
16年には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立つ外相会合で参加国の外交トップが広島に集まる。核保有国の米国、英国、フランスの現職外相の訪問も初めてだ。
核兵器がどれほど非人道的な兵器であるか。最も知っているのは日本だ。被爆地の声を世界に届けて、核廃絶のうねりを高めていきたい。