e核廃絶へ新たな歩み
- 2015.08.07
- 情勢/社会
公明新聞:2015年8月7日(金)付
被爆の実相、世界に発信
山口代表が力説
体験伝え、遺構を後世に
公明党の山口那津男代表は6日午前、広島市内で記者会見し、被爆70年の大きな節目を迎えたことを踏まえ、核兵器廃絶に向けた取り組みを着実に進めていくために全力を尽くすと訴えた。会見要旨は次の通り。
【核兵器廃絶】
一、来年の先進7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)関連の外相会合が広島市で開かれる。核廃絶へ公明党が昨年提言し、誘致活動を政府に強く求めてきたことが実った。被爆地である広島で外相会合を開くことに各国が同意したこと自体、大きな前進だ。
一、唯一の被爆国として、わが国が核廃絶を進める役割は重要だ。外相会合では、合意形成へ日本が核保有国と非保有国の"触媒"の役割を果たす。核廃絶に向けた法的枠組みの議論に着手する動きが出るのが望ましい。そして、核のない世界への新たな取り組みとして「広島宣言」を出してほしい。被爆の実相を世界に伝え、核兵器禁止条約締結への流れをつくっていく。
一、被爆を体験した方の多くが80歳を超えた。被爆体験を後世に伝えていく取り組みを支援するとともに、「もの言わぬ被爆者」といわれる原爆遺構なども、どう後世に残していくか検討すべき時ではないか。
【平和安全法制】
一、国会で審議されている関連法案は、戦争を起こさせない仕組みをつくるのが目的だ。「戦争防止法案」と言ってもいい。国際社会の安定へ抑止力を高めると同時に、国連を中心に国際社会が協力する機能を高めるため、日本が一層、貢献していくことが重要だ。
【戦後70年談話】
一、(閣議決定の有無について)首相が出す以上、国民、国際社会から重みのあるものと受け止められる。責任が伴う談話と捉え、内閣で最終的に判断してもらいたい。歴代内閣の考えを継承するとの趣旨が国民、国際社会に伝わるものでなければならない。中国、韓国との関係改善に資する内容になることを望んでいる。発表前に首相から相談があれば、意見を申し上げたい。
広島で70回目原爆の日
広島は6日、70回目の原爆の日を迎えた。広島市中区の平和記念公園では、市主催の「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が行われ、被爆者や遺族、安倍晋三首相ら約5万5000人が参列。公明党から山口那津男代表をはじめ、斉藤鉄夫、赤羽一嘉の両衆院議員、谷合正明、山本博司の両参院議員、田川寿一、栗原俊二、日下美香、石津正啓の各広島県議、平木典道、安達千代美、星谷鉄正、米津欣子、原裕治、渡辺好造、碓氷芳雄の各広島市議が参列した。
松井一実市長は平和宣言で、「絶対悪」である核兵器の廃絶に向け、世界指導者に「『人類愛』と『寛容』を基にした国民の幸福を追求し、武力に依存しない幅広い安全保障の仕組みをつくり出していかなければならない」と訴えた。
式典には過去最多の100カ国と欧州連合(EU)代表部の代表が参列した。米国からはケネディ駐日大使のほか、政府高官として初めてゴットメラー国務次官が参列した。原爆が投下された同8時15分に遺族代表らが「平和の鐘」を打ち鳴らし、1分間の黙とうをささげた。
安倍首相はあいさつで、「唯一の戦争被爆国として、現実的で実践的な取り組みを着実に積み重ねていくことにより、『核兵器のない世界』を実現する重要な使命がある」と強調。
また、9月に米ニューヨークで開かれる国連総会に「新たな核兵器廃絶決議案を提出する」と表明した。