e地方創生の新交付金 小規模な自治体の支援さらに

  • 2015.08.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年8月10日(月)付



人口の高齢化や減少が進む地域を元気にするため、全国の自治体が地方創生に取り組んでいる。政府はその支援策として、2016年度の当初予算で創設する新型交付金の額を1000億円超にする基本方針を決めた。


支給対象は、地方創生に関する今後5年間の政策と数値目標を盛り込んだ「地方版総合戦略」を16年3月末までに策定した都道府県と市町村。地域の観光戦略の司令塔となる「日本版DMO」(官民協働型観光推進体制)の設置など、先駆的な事業を行う費用の半分に交付金が使える。残りの費用は自治体が負担する。


いわば、地方創生の実質的なスタートに活用されるものだが、1000億円という金額にとまどう自治体は少なくない。14年度補正予算で先行的に盛り込まれた交付金は1700億円だったが、事業が本格化する今後、予算が減ることを心配しているからだ。


確かに、金額は14年度補正予算に盛り込まれた規模を下回る。だが、新型交付金は年度ごとに更新される総合戦略の事業に対応するため、今後も継続して予算化される見込みだ。少なくとも地方版総合戦略で定める今後5年間は、毎年1000億円を超す交付金が確保されるだろう。


人口減少、高齢化、東京一極集中......。立ちはだかる課題は大きく、一朝一夕で解決できるものではない。新型交付金は、地方創生を安定的に支援する財源となるので、自治体にとっては心強い。


その上で国に検討してもらいたいのは、規模の小さな自治体へのきめ細かい配慮だ。全国町村会や全国町村議会議長会など「地方六団体」は、新型交付金を使った事業の自治体負担の軽減措置を求めている。一般的に、地方創生の実現を急がなければならない自治体ほど財政事情は厳しい。個別の状況に応じた財政措置が必要ではないだろうか。


また、新型交付金が使えるのは「先駆的な事業」に限られることを踏まえ、国は市町村を全面的に支援してほしい。特に、小規模な市町村は地方版総合戦略に携わる人材が限られるため、交付金が使える事業を考案できるか不安だ。一つでも多くの市町村が交付金を活用できるようにすることも国の重要な責任だ。

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