eコラム「北斗七星」

  • 2015.08.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月12日(水)付



日ごろ見慣れた平面の世界地図からはイメージしにくいが、地球儀を上から見下ろせば少しは分かりやすくなるだろうか。国土交通省北海道開発局などが、「北極海航路」の利活用を進める調査研究を続けている◆アジアとヨーロッパを北極海経由で結ぶこの航路。地球温暖化の影響で北極海の氷が溶け、夏季限定ではあるものの貨物船などの航行が可能に◆同航路を活用すれば、これまでの地中海からスエズ運河を抜け、インド洋からマラッカ海峡を通って日本へ至る経路に比べ、実に近い。航行距離では約4割減、到着までの日数も約3割短くなる。となれば、燃油や人件費などの輸送コストを大幅に削減できる計算だ◆こうした恩恵は、韓国、台湾、中国・上海などでも期待できるとはいえ、北に位置するほど地理的には有利。アジア諸国の中では日本、日本の中では北海道に地の利はある。実際、昨年の調査では、同航路を利用した船舶の約8割が宗谷、津軽の両海峡を通過しており、道内各港が新たな国際物流拠点となり得る可能性を示した◆近年、問題となっているソマリア沖などでの海賊被害を回避できる安全面での利点も考え合わせれば、今後ますます同航路への関心は高まるはず。大きなチャンスを生かす官民を挙げた取り組みが求められている。(武)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ