e平和安全法制の審議 自衛に不可欠との理解深めたい
- 2015.08.14
- 情勢/解説
公明新聞:2015年8月13日(木)付
わが国の安全保障体制の強化などをめざす平和安全法制の関連法案は現在、参院の特別委員会で審議が行われている。各種世論調査によると、その内容や重要性について、国民の十分な理解はまだ得られていないようである。
今回の関連法案は、<専守防衛の考え方は全く変わらない><国際法上、集団的自衛権の行使として認められる他国防衛のための武力行使を認めるものではない><あくまでも、わが国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置であり、国際情勢に対応し、日米安保体制の実効性を確かなものにするためのものである>。政府は、こうした説明を繰り返し行い、理解を得る努力を続けなければならない。
野党の中に、議論を深めるどころか、「徴兵制の恐れ」「戦争法案」など、時代錯誤のレッテルを貼ることで、国民の不安をあおり、法案への攻撃を強める動きさえ見られるのは残念だ。
かつての国連平和維持活動(PKO)協力法をめぐる審議でも、当時の社会党や共産党は「子どもたちを戦場に送るな」「海外派兵だ」と叫び、同調するマスコミもあったが、今では自衛隊の活動は高く評価され、的外れの批判だったことが実証されている。
一部野党の自衛隊や日米安保体制に対する基本姿勢は当時と変わらないようだ。日米安保体制の解消や、自衛隊を憲法違反だとして弱体化したり、解散をめざす政党もある。当然のように、国会審議で自衛隊による国際貢献や、日米同盟の深化などにはことごとく反対する。これでは自衛隊の役割や新たな展開について議論に至るはずがない。
先週、特別委員会での審議について、政治学者ら12人の有識者でつくる「安全保障法制を考える有志の会」(世話人=白石隆・政策研究大学院大学長)は与野党各会派に対し、「日本の安全保障における抑止力」「日米安全保障体制における日米の役割分担」などについて、「丁寧に、また具体的に議論していただきたい」との要望書を提出した。
与党、政府に的確な質問や分かりやすい答弁が引き続き求められていることは言うまでもない。日米安保体制や自衛隊の活動について、建設的な議論をすべきである。