e変わる難病対策《中》

  • 2015.08.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月14日(金)付



子ども患者支援

成人後も切れ目なく
医療費助成拡大に喜びの声



今年1月に施行された改正児童福祉法で、医療費助成の対象となる子どもの難病(小児慢性特定疾病)は、従来の514疾病が704疾病に拡大。対象は、約11万人から約15万人に広がった。


18歳未満が対象で、引き続き治療が必要な場合は20歳未満まで延長できる。子どもの難病に対する支援は、1974年に治療研究事業としてスタート。2005年には法改正で同事業を予算の義務的経費(支出が義務付けられ、勝手に額の縮減ができない経費)に位置付けた。


新制度では、消費税の引き上げ分を活用して財源を安定化。自己負担の割合は3割から2割に減った。子どもの成長に合わせた自立支援事業も創設され、地方自治体が自立に向けた相談や就労などの支援を行う。


一方、これまで子どもの難病の多くは全年齢で医療費助成がある「指定難病」ではないため、成人後の医療費負担が患者に重くのしかかるという課題があった。今回、改正児童福祉法と同時に誕生した難病医療法により306疾病に拡大された指定難病には、全身型若年性特発性関節炎、胆道閉鎖症などの子どもの難病も入った。


軟骨細胞の異常で骨が十分に成長しない「軟骨無形成症」もその一つ。先天的に約2万人に1人が発症し、国内の患者数は推計6000~7000人。身長は120~130センチほどで止まる上、歩行が困難になる脊柱管狭窄症や睡眠時無呼吸症、中耳炎など、さまざまな合併症が現れるのが特徴だ。


東京都府中市に住む会社員・堀越祥江さん(25)も同症の患者だ。幼少時から数多くの症状に悩まされてきたが、20歳で医療費助成は打ち切られた。今も合併症に苦しみ、病院通いが続いている。


堀越さんは、「私は仕事もしているので『身体が小さいだけで本当に病気なのか』と言われることもあった。やっと指定難病に認められてうれしい」と思いを吐露した。堀越さんの母・晶子さん(全国軟骨無形成症患者・家族会「つくしの会」東京支部長)は、「指定難病になることで成人後の医療費負担が軽減されることは大きい。病気の調査研究も進めてほしい」と期待を寄せる。


NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」の小林信秋会長は、新制度での自立支援事業の充実を評価。その上で、「今後は相談や就労支援を担う地方自治体の役割が重要になる」として、情報発信に力を入れていく考えだ。

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