e動き出す空き家対策

  • 2015.08.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月15日(土)付



各地で実態調査、職員派遣も



老朽化による倒壊など、住民生活に深刻な影響を及ぼす空き家問題の解消をめざし、公明党が制定をリードした「空き家対策特別措置法 」(議員立法)が5月に全面施行されて約3カ月。各地で対策が動き出している。


「表札なし」「外壁は一部破損」―。2人組の調査員が人けのない家屋を前に、手際よくチェック項目を確認していく。彼らは奈良市と契約した委託業者の測量士だ。中には、草木がうっそうと生い茂り、屋根の一部が崩れ落ちた民家もあった。


特措法の施行を踏まえ、同市は8月10日から空き家の外観調査を本格的に開始した。水道利用の有無や固定資産税の情報を基に抽出した調査対象4000~5000件程度を11月末までに調べ、危険度の高い空き家や利活用が可能な空き家を判定してリスト化する予定だ。この調査結果は、今年度中の策定をめざす空き家対策計画に役立てる。


特措法の施行に前後して空き家に関する市への問い合わせは急増。今年度に入り100件近く寄せられており、同市の担当者は「市民の関心は予想以上に高い」と語る。これまで、「地域に危険な空き家があっても自治会では勝手に動けんかった」(同市南部で自治会長を務める大西善和さん)のが実情だった。それだけに空き家問題の受け皿となる特措法への期待は大きい。


特措法の施行を受けて、全国的にも取り組みが広がっている。


全住宅に占める空き家の割合が22.0%(2013年の住宅・土地統計調査)と全国で最も高い山梨県は、実態調査に向けたマニュアルの策定に乗り出した。甲府市などの市や町と共に作業グループをつくり、今秋の完成をめざす。


石川県は、建築の専門知識を持つ職員がいない市や町に、県職員の派遣を開始。群馬県前橋市も7月末から、不動産業者などと連携して売買や賃貸情報を提供する「空き家利活用ネットワーク」事業をスタートするなど、各地で動きが活発になっている。


公明党は、特措法の全面施行を受け、地域の実情に即した空き家問題の解消や有効活用に全力で取り組んでいる。

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