eコラム「北斗七星」
- 2015.08.21
- 情勢/社会
公明新聞:2015年8月21日(金)付
今月末からの全米オープンテニスを前に錦織圭選手は先のシティ・オープンで今季ツアー3勝目、通算10勝目を挙げ日本中を大いに沸かせた。続くロジャーズ・カップは残念ながら負傷し準決勝で敗れたが、全米オープンでは優勝を期待したい◆ところで65年前の1950年の全米選手権(現在の全米オープン)。アリシア・ギブソンという女性プレーヤーがコートに立つと観客席がブーイングの嵐となった。彼女が黒人だったからだ◆当時の黒人は人種差別の中で極貧生活を強いられ、テニスは白人のスポーツだった。スラム街で生まれたギブソンが幸運だったのはテニス指導者の黒人医師との出会いがあったからだ◆彼女は人種差別と戦うように猛練習に励む。その結果どうだったのか。56年全仏選手権シングルスでテニス四大大会史上初の黒人選手優勝に輝き、さらには同ダブルス優勝。57、58年ウィンブルドン選手権シングルス優勝、同56~58年ダブルス優勝。57、58年全米選手権シングルス優勝、同57年混合ダブルス優勝。57年全豪選手権ダブルス優勝という素晴らしい成績を残すのだ◆後輩のために道を開いたアリシア・ギブソンは71年に国際テニス殿堂入りした。今年の全米オープン女子シングルスで、黒人のセリーナ・ウィリアムズ選手の大会4連覇なるのかも注目だ。(流)