e子どもの養護は「家庭」で
- 2015.08.24
- 情勢/社会
公明新聞:2015年8月22日(土)付
里親制度拡充など要望
党PTが厚労相に
調査重ね"現場の声"反映
公明党児童虐待防止・社会的養護検討プロジェクトチーム(PT、国重徹座長=衆院議員)は21日、厚生労働省で塩崎恭久厚労相、山本香苗厚労副大臣(公明党)に会い、「子どもの最善の利益に照らした社会的養護の充実についての提言」を手渡した。古屋範子副代表、佐々木さやか同PT事務局長らが出席した。
提言では、児童虐待などで保護者による適切な養育が受けられず、社会的養護を必要としている子どもが約4万6000人おり、増加傾向にあると指摘。そのため今後、社会的養護の取り組みが重要になると訴え、施策充実を求めている。
具体的には、社会的養護を必要とする子どもは、虐待などで心身に傷を抱えている場合が多く、一対一の関わりを深めることが重要であるため、里親やファミリーホームなど家庭的な環境で養育する「家庭養護」「家庭的養護」の拡充が必要と主張した。
さらに、施設における社会的養護の比率が高いことから、2029年度までに里親・ファミリーホームによる養育の比率(11年3月末時点で12%)をおおむね3分の1とする政府の目標について、「十分な予算と人員を確保して目標を前倒しで達成し、さらに高い目標を設定すべき」と訴えている。
一方、社会的養護の担い手となる里親や職員を支えるため、専門的、財政的な支援や協同体制の構築を求めた。このほか提言では、特別養子縁組を前提とした里親委託制度を普及させることや、社会的養護の対象から外れる18歳を超えても自立に必要な支援を充実させること、社会的養護の地域間格差の解消に向けた取り組みなどを要望した。
提言は同PTを中心に公明党が、各地の社会的養護の現場や愛知県の特別養子縁組制度の先進事例などを視察し、里親や人権団体とも意見交換を重ねて"現場の声"を反映させたものであることから、国重座長は席上、政府に取り組みの充実を促した。
塩崎厚労相は、「すべての子どもが健やかに育つため、社会的養護の推進など制度の抜本的な見直しの検討も含めて対策強化を図りたい」と答えた。