e「会って話せて よかった」

  • 2015.09.03
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年9月3日(木)付



福島の事業者から喜びの声
避難区域12市町村
官民チームが再建後押し


東京電力福島第1原発事故の影響で、避難区域が設定された福島県内12市町村の商工業再開を支援するため、国と県、民間団体で構成する「福島相双復興官民合同チーム」が8月24日に約140人態勢で発足し、活動をスタートさせた。被災事業者の自立と再建は、住民が原発災害から故郷での日常生活を取り戻す大きな一歩となる。個別訪問を通じ、事業再開を後押しする同チームの取り組みを追った。


「経営を続けていけるか不安でたまらない」。葛尾村内の避難指示解除準備区域に指定された地域で、ガソリンスタンドを経営する松枝健二さん(53)は、チームの担当者に率直な気持ちを伝えた。松枝さんは、原発事故に伴い葛尾村から西へ約30キロ離れた三春町内の仮設住宅で避難生活を送りながら、2013年7月から事業を再開した。現在は、除染作業の業者などが利用するため経営は安定しているというが、「除染が終わった後、利用者が激減するのでは」と語る。


一方、故郷で事業を再開できずに悩む事業者もいる。田村市で電子機器を開発・製造する「葛尾電子工業」は葛尾村から田村市へ移転。松本貞幸代表取締役(63)は、「できることなら、葛尾村で再開したい。でも、人手の問題や機器の運搬のことを考えると難しい」と訴えた。


原発事故で先行きが見えにくい中、再起を期そうとする事業者が頼りにしてきたのは「情報」だ。チームによる個別訪問は、本音を行政に直言できるだけでなく、情報を得る格好の機会となっている。川内村で農林産物の生産・加工・販売を手掛ける「緑樹」の河原修一代表取締役(54)は「会って話す中で、国や県の制度を知ることができてよかった」と評価する。


事業者から共通して聞かれる課題は「人口減少」だ。若い世代を中心に他市町村への移住が続き、従業員などの人手不足が著しい。復興が進み、どのくらい顧客が回復するのか見通しもたちにくく、事業者の苦悩は大きい。


こうした現場と向き合いながら、チームは、2人1組の個別訪問を通じ、事業再開に関する要望や意向を把握。支援策(グループ補助金、立地補助金など)の紹介などきめ細かな提案も実施していく。今後は再開をめざす農家も後押しする予定だ。


一人一人に寄り添い支援


経済産業副大臣
原子力災害現地対策本部長、公明党)
高木陽介氏


住民が故郷に帰還し新たな生活を再開するため、さらに外部から新たな住民を呼び込むために、働く場所、買い物をする場所、医療や介護のサービスを受ける施設などの再開が必要です。しかし、震災から4年半近く過ぎた今でも、多くの事業者が再開できていません。再開できたとしても住民の避難に伴う顧客の減少など、苦難に直面しています。


官民合同チームは約8000事業者を対象に個別訪問し、事業再建計画の策定や補助金申請書類の作成など、実務に関する相談にも応じます。窓口で相談に応じる従来型の対応ではなく、個別の事業者を訪問して現場で話を聞き、事業者の自立支援、働く場の確保などに全力を挙げていきます。


今後、私自身が先頭に立ち、一人一人に寄り添った支援を進めていきます。

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