eコラム「北斗七星」
- 2015.09.09
- 情勢/社会
公明新聞:2015年9月9日(水)付
平和安全法制の関連法案について、民主党の岡田代表は、「審議が不十分だ」と繰り返す一方で、「廃案に全力を尽くす!」と叫んでいる。国会での質疑を通して論点を明示する気持ちなど、最初からなかったのか、と思ってしまう◆『野党とは何か』(ミネルヴァ書房)の編著者である吉田徹北海道大学大学院准教授によれば、日本では、1890年代に「在野党」という言葉が初めて登場し、その後「野党」に言い換えられるようになったという。「民党」「民間党」「反対党」などとも呼ばれた◆現在、与党は国会審議を通じて国民の理解を求めようとし、野党は在野の反政府運動と連動して政府与党を攻め立てる。前者の拠点は国会であり、後者のそれは院外である。加えて野党は、地味な国会審議よりも、派手な運動を好みがちなマスコミ報道の追い風も受ける。主戦場が異なる与野党の攻防戦は、かみ合わない◆前述の編著書の中で吉田氏は、イタリアの政治学者、ジョヴァンニ・サルトーリが挙げた野党の3類型を紹介している。(1)責任ある憲政的な野党(2)憲政的ではあるが無責任な野党(3)野党というよりは抗議体として位置づけられる無責任で非憲政的な野党―である◆政権与党の経験もある野党第一党の民主党だが、(1)の道を捨てたのだろうか。(山)