eコラム「北斗七星」
- 2015.09.15
- 情勢/社会
公明新聞：2015年9月15日（火）付
きょう15日、米ニューヨークで第70回国連総会が開幕する。合意文書を採択できず決裂した、今春の核拡散防止条約（NPT）再検討会議を受けて、核軍縮を巡る"仕切り直し"の総会になる◆焦点は、核軍縮を効果的に進めるための作業部会の設置だ。5年に一度のNPT会議ではなく国連総会に"場"を設け、核兵器禁止条約を含む法的な枠組みについて、終わりを決めないで議論しましょう、というアイデアで、交渉の行方に注目が集まる◆先月、広島市で、各国の軍縮担当者らによる国連軍縮会議が開かれた。広島県被団協の坪井直理事長の「最後の一呼吸まで核廃絶を諦めない」という感動的なスピーチで始まった会議は、非核保有国側から核軍縮を進めない核保有国への不満が噴出。一方、保有国側は「多くの国が核兵器の恩恵を受けている」と傲然と言い放ち、対立が際立った◆核不拡散体制は、保有国が葉巻を燻らせながら、「たばこは吸うな」と高言しているようなもの。しかし、核兵器の維持管理コストは膨大で、保有国にも核兵器を不要とする軍事・安全保障上の理由は存在している。核兵器の法的規制の流れが確実になれば、世界の軍需産業は核兵器に見切りを付けるだろうとの見方もある◆「核兵器なき世界」は夢物語ではない。決して諦めてはいけない。（中）
