eコラム「北斗七星」

  • 2015.09.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年9月17日(木)付



「大切なのは将来と将来に対する責任」。マックス・ウェーバーが「職業としての政治」の中で政治家に求めた資質だ◆一方で、政治家は、衆目を集めようとする「虚栄心」に誘惑されて「演技者になったり、自分の行為の結果に対する責任を安易に考えたり、自分の与える『印象』ばかり気にするといった危険に不断にさらされている」と指摘する。かつての国連平和維持活動(PKO)協力法(1992年6月成立)をめぐる審議を思い起こす◆当時、戦後初めて海外へ自衛隊を派遣することに対する世論の反発が強く、一部野党は「海外派兵」などと声高に叫び、反対キャンペーンを展開した。今では自衛隊の活動は高く評価され、的外れの批判だったことが実証されている◆政治の動向に大きな影響を与えるマスコミの報道姿勢も問われる。PKO法の成立前後には、「実質的になし崩しの解釈改憲に踏み切るのは立法府の自殺行為」「自衛隊抜きPKOで始めよう」などと社説で論じた全国紙もあった。10年、20年たつと、「国際社会からも活動が高く評価されてきたPKO」「ともに汗を流す貴重さ 自衛隊PKO」と論調が様変わりする◆ウェーバーは「結果に対する責任を痛切に感じ、責任倫理に従って行動する」ことを説く。政治に携わる者が銘記すべき姿勢だ。(紀)

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