e日米同盟強化し紛争抑止
- 2015.09.24
- 情勢/国際
公明新聞:2015年9月22日(火)付
平和安全法制成立 識者に聞く
公明の存在が国際社会にも安心感
政策研究大学院大学 白石隆学長
―平和安全法制をどう評価しますか。
日米同盟を強化し、抑止力を高めるものであり、時宜にかなったものだ。背景として安全保障環境の大きな変化がある。具体的には、(1)国際社会における力のバランスの変化(2)宇宙やサイバー空間などへの安全保障空間の拡大と軍事技術の革命(3)海賊や伝染病など安全保障領域の広がり―の3点を挙げたい。
特に、(1)については、世界的には新興国が台頭し、アジア太平洋では中国の伸長が顕著だ。歴史を振り返れば、こうした変動期には、勢いづいた国がそれまでのさまざまな国際ルールなどを無視し、現状を変更しようと企てることがある。客観的に見て、われわれはその真っただ中にいる。だから、それをさせない抑止力がポイントになる。
抑止力とは、ある国や集団が日本の存立に関わるような武力の行使を行おうとした時にそれを思いとどまらせる力のことだ。つまり、抑止力は対処能力である一方、相手の期待に働き掛けるものだ。日本は第2次世界大戦後、自助(自衛力)と共助(日米防衛協力)の組み合わせによって、この抑止力を確保してきた。今回の法整備に反対する国があるが、それは法整備に効果があることを示す証拠だ。
―公明党が法整備に果たした役割について。
今回、国論が二分されたとは思わないが、強い反対運動が起こった。その中で世論の動向を踏まえ、バランスの取れた法制を実現しようと、公明党は尽力してきた。一方、国外に目を向けてみると、各国で政策立案に携わる実務家たちと話をすると、日本がナショナリズムに強く振れることは決して望んでいない。そうした中で、公明党が与党にいて法整備に関わっていることは彼らに安心感を与えている。国内的にも国際的にも公明党の役割が重要だということだ。
―今後、アジアと世界の平和と安定に寄与するため、日本は何をなすべきですか。
世界の安全と平和があってこそ、日本の安全を守ることができる。国連平和維持活動(PKO)などを通じた自衛隊の活動の積み重ねが、日本に対する海外の評価と信頼を高めてきた。これは財産であり、これを機に積極的に取り組んでほしい。
今、残念なことに、そうした事実に目をつぶり、自衛隊を平和協力、平和構築のために海外派遣することと海外派兵を、まるで同じであるかのように論じる人がいる。これは"ためにする議論"だ。"戦争立法"などと同様のデマと言っていい。これらが、日本の国際貢献についての日本国民の理解そのものを難しくしているという印象を強く持っている。
政策の議論は、筋を通して論理的に行うことが重要だ。特に安全保障のような政策は、国民的な理解や支持がなければ、前に進められない。公明党がそうした国民的な支持を育てていくことを期待している。