e携帯料金の引き下げ 未使用電波の活用を検討せよ
- 2015.09.24
- 情勢/社会
公明新聞:2015年9月22日(火)付
総務省は先週、携帯電話料金引き下げの具体策を検討し、年内に結論をまとめると発表した。政府の決定は、これまで一貫して携帯電話の料金引き下げに取り組んできた公明党の政策と軌を一にするものであり、評価できる。
総務省の調査によると、従来型の携帯電話の月額料金は現在1600円程度にとどまるが、一般的なスマートフォン(スマホ、多機能携帯電話)の場合は約7000円に上っている。現在では、スマホの契約台数が従来の携帯電話を上回っているが、諸外国の主要都市のスマホ利用者に比べ、日本では通信量の少ない利用者の料金負担が重いと指摘されている。
スマホの料金は、通信料に応じて設定されており、一般的には通信量2ギガバイト以上の契約となる。しかし、この設定では、通信量が2ギガに満たない人は必要以上に料金を払ってしまう。このため、政府は、料金引き下げの一例として通信量が2ギガ未満の契約を新設し、料金引き下げのあり方を示した。幅広い事業者に前向きな対応を期待したい。
また、国内の携帯電話市場が主要3社による寡占状態にあり、競争原理が働きにくいとの指摘は根強い。現段階で使われていない電波帯(ホワイトスペース)を開放し、事業者の参入を促すことも、政府は検討してほしい。
携帯電話業界には、自前で通信設備を持つ事業者(MNO)と、MNOから設備を借りている事業者(MVNO)がある。MVNOが扱う「格安スマホ」と呼ばれる低価格の端末が普及すれば、一定の料金引き下げ効果は見込める。ただ、MNOの電波の一部を再販売しているため、競争を促す効果は限定的ではないかとの見方が有力だ。料金引き下げには、未使用電波帯の活用は必要である。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の大半が採用している電波オークション(競売)の導入も検討に値しないだろうか。米国は、増大する通信需要を賄うために、競売の仕組みを活用して、事業者に割り当てる電波数の大幅な再編を来年にも行う方針だ。
各国とも、技術の発展に合わせて大胆な制度改革を進めている。日本も、この流れに乗り遅れないようにしたい。