e平和安全法制成立 識者に聞く

  • 2015.09.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年9月25日(金)付



信頼できる公明の平和主義

政権の勇み足ただす信念の力
作家・元外務省主任分析官 佐藤 優 氏



―平和安全法制に対する評価は。



公明党の主張に沿って評価するならば百点満点だ。公明党は、今回の平和安全法制は、昨年7月1日の閣議決定から一歩も出ていないと言っている。昨年の閣議決定は、集団的自衛権と個別的自衛権が重なる範囲を明確にしたものだ。これで、なし崩し的に個別的自衛権の解釈を広げて、実は集団的自衛権の範囲に大幅に踏み込んで活動する、といったことはできなくなった。


また、日本の防衛に必要な活動は問題なくできるのだから、憲法9条を改正する必要もなくなった。


一方で、今回の法制度は、人によって異なる解釈ができる余地がある。だから、法整備で終わり、ではなく、いかに昨年の閣議決定の趣旨を守って運用するかが重要になる。



―法制度の運用面で注意すべきことは。



例えば今の政権はホルムズ海峡の機雷除去に意欲を示す向きがあったが、それが現実的ではない、との答弁を引き出したのは、14日の山口那津男代表の委員会質問だ。通常、与党の議員から政権の勇み足をただすような質問が出されることは想定されない。だが、現実に平和を維持するためには、大規模なデモを繰り返すよりも、こうした着実な取り組みで懸念を一つ一つ払しょくしていくことのほうが、よほど力になる。


時に権力者は、実証性と客観性を欠いて、自分が望むように世の中を解釈しようとすることがある。だが、公明党には、人間主義と平和主義の信念に基づく確かなリアリズム(現実主義)と論理の力がある。公明党が今後やらなければならないことは、安全保障上の具体的な問題が出たときに、現実に即して客観的かつ論理的に考え、そして昨年の閣議決定に照らして安保法制を解釈して、平和を守っていくことだ。



―公明党の役割について。



昨年からの安全保障論議の中で、公明党の立ち位置は変化している。これまで、公明党は社会福祉、教育などの面で評価されてきたが、安全保障政策の主要な意思決定権者だとは言えなかった。しかし、昨年からは、重要な決定権者の一員になっており、国の中枢に与える影響力がますます強まっている。そこを過小評価しないことが重要だ。


私が理解する限り、公明党は、存在論的平和主義だ。つまり、公明党は、平和を創るために生まれ、平和を守るために活動し続ける存在だ。公明党は、現実の政治の場で、しっかりとその責務を果たしている。今後もしっかりと公明党を支持していくことが、そのまま現実の平和を維持することにつながる。


民主党は表面上、集団的自衛権に激しく反対しているが、本心では大半の人が集団的自衛権に賛成だ。反対は政局的な観点からだ。公明党は、その人間主義と平和主義の価値観に基づいて、日本国憲法で認められる個別的自衛権の範囲を超えた、いわゆるフルスペックの集団的自衛権に反対している。だから公明党は信頼できる。

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