eコラム「北斗七星」

  • 2015.09.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年9月26日(土)付



「勝敗は兵家も事期せず 羞を包み恥を忍ぶは是れ男児」。ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会での日本対南アフリカ戦と、対スコットランド戦を生中継で見て、この詩を思い出した◆詩は唐の杜牧が詠んだ『烏江亭に題す』(岩波書店『中国名詩集』所収)の一節。勝敗は兵家も予測できないが、敗北の恥辱に耐えてこそ"真の男"という意味だ。過去7回のW杯での日本の戦績は1勝21敗2分け。敗北に、どれほど悔し涙を流したことか◆国内人気では野球、サッカーに押され、2019年W杯が日本で開催されるのに、注目度は決して高くなかった。ところが、状況は劇的に変わりつつある。TVや新聞などで扱われる日本代表の戦いぶりを知り、実感している人も多いだろう◆ある米国映画で老人が孫にベーブ・ルースのホームランについて語った言葉がある。「あんなにいいものを観たことはない」。二宮清純氏はこの場面を、「一本のホームランが、『生きていてよかった』と思わせることもある」(『勝者の組織改革』PHP新書)と捉えた◆南アフリカを破り、"史上最大の番狂わせ"と世界を興奮させた戦い。ほぼ互角だったスコットランド戦の前半。いいものを観せてくれた。残り2戦。男たちの挑戦は続く。勝つことが「歴史を変える」(日本代表・リーチ主将)道だからだ。(田)

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