e公明合意形成をリード
- 2015.09.28
- 政治/国会
公明新聞:2015年9月27日(日)付
通常国会閉幕 井上幹事長に聞く
生活者目線で多彩な成果
経済再生、地方創生など前進
戦後最長の245日間に及んだ第189通常国会がきょう閉幕します。公明党は連立政権の"要"として、経済再生や地方創生などの重要課題をリードし、国民生活に直結する多くの法律を成立させました。また平和安全法制では、日本の平和と安全を守るため、与野党を超えた幅広い合意形成に努めるなど"政治の責任"を果たしました。今国会における公明党の取り組みについて、井上義久幹事長に聞きました。
―今国会の成果は。
井上義久幹事長 昨年末の衆院選で掲げた公約と自公の連立政権合意を具体的に実現していく国会でした。特に、経済再生、地方創生、社会保障と税の一体改革、東日本大震災からの復興加速、さらに、後半国会では平和安全法制が重要課題となりました。公明党は与党の中で生活者目線からの主張を貫き、衆参の国会議員が結束し、それぞれ大きな成果や前進を導いたと総括しています。
まず国会冒頭では、景気を下支えするため、地方や中小企業に目配りした緊急経済対策を盛り込んだ2014年度補正予算を成立させました。ここには、公明党の主張が随所に反映されました。例えば、これによって家計の支援と地域商店街の活性化を促すプレミアム(割増)付き商品券の発行支援が決まり、現在、各地の自治体が工夫を凝らした取り組みを展開し、好評を得ています。
その後成立した15年度予算は、公明党が進める地方創生や社会保障制度の充実などに予算を重点配分したのが特徴です。具体的には、子ども・子育て支援新制度を4月にスタートさせ、待機児童の解消や放課後児童クラブの充実を図るとともに、難病、認知症対策などを強化。また、同予算は経済成長と財政再建の両立も実現させています。
―4月の統一地方選で公明党は大勝利することができました。
井上 統一選では人口減少、少子高齢化が本格化する中で、地方創生の担い手を誰に託すかが問われました。私たちは、そこに住んでいる若者や高齢者が人生設計を描き、安心して生活できる地域をつくっていこうと、「人が生きる、地方創生。」をテーマに訴えました。その結果、多くの有権者の支持を得ることができました。
この間、党内に設置された「活気ある温かな地域づくり推進本部」を中心に、視察やヒアリングを重ね、政府に提言も行いました。今国会では、公明党が提案してきた「小さな拠点」づくりや地方への企業移転などを促す地方創生関連2法(改正地域再生法、第5次地方分権一括法)が成立しました。いよいよ、これから地方創生の成果が問われてきます。まずは自治体による「地方版総合戦略」の策定に向けて、公明党の持ち味であるネットワークの力を存分に発揮し、しっかりと取り組んでいきます。
日本の平和に責任果たす
与野党協議、真摯に対応
法律運用を厳しく監視
―国民の生命と安全を守るために隙間のない安全保障体制をつくる「平和安全法制」の関連法が成立しました。
井上 まず、憲法59条の60日ルール(参院送付から60日たっても議決されない場合、衆院で再可決できる規定)が使われることなく、参院として結論を出し、可決、成立したことは、良識の府・参院の役割を果たしたといえます。今後の国会運営にとっても、非常に貴重な経験であったと考えています。
国会での審議では、丁寧な国会運営を心掛け、衆院で116時間、参院でも100時間を超える質疑時間が確保されました。また、幅広い合意形成が国会の大きな役割と位置付け、野党3党の修正案には真摯に対応し、対案を提出した維新の党との協議にも応じました。
こうした結果、成立の段階で、自公両党と野党3党による「5党合意」を得ることができたのは、大きな成果です。一方、民主党などの野党は対案を示さず、審議の引き延ばしや廃案をめざすことだけに終始したのは、非常に残念でした。
平和安全法制は、これから公布を経て、運用の段階となります。これは日本だけの取り組みではなく、同盟国や近隣諸国、あるいは国際社会にもいろいろな影響を及ぼします。このため、法律の趣旨が正しく伝わり、その通りに運用されることが重要です。この運用のプロセス(過程)についても、しっかりと監視しながら、広い意味での民主的統制に付していかなければなりません。
また、国内においても、あらゆる機会を通じて、国民の理解をさらに得られるよう、説明責任を果たしていきます。
―他に成立した法律についてはどうでしょうか。
井上 農業の成長産業化や農家の所得向上をめざし、農協などの組織を改革する改正農協法が成立しました。公明党は農協が農業や地域の活性化に果たしてきた役割を評価し、自己改革を基本に、時代の変化と地域性に応じて自由に経営展開できるようにとの観点から改革を推進してきました。
また、選挙権年齢を現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が成立しました。来年夏の参院選から導入され、新たに約240万人が有権者となります。次代を担う若い世代の政治に対する関心が高まると期待されています。18歳選挙権は、公明党が45年以上前から一貫して実現に取り組んできました。今後も若者の政治参加を積極的に働き掛けていきたいと思います。
このほか、マイナンバー法、労働者派遣法、活動火山対策特措法、水防法、福島復興再生特措法、半島振興法、山村振興法、中小企業経営承継円滑化法などの改正法が成立しました。新たな法律としては、女性活躍推進法や青少年雇用促進法などが挙げられます。
軽減税率の導入に全力
―国会閉会後の重要課題は。
井上 これから年末にかけて、来年度予算編成や税制改正に関する作業が本格化します。公明党の主張が盛り込まれた概算要求の実現に向けて取り組みます。また各種団体のヒアリングも10月中旬から開始する予定で、現場の声をしっかり反映させていきます。
特に、税制改正に関する最大の課題は、消費税率10%への引き上げと同時導入をめざす軽減税率の実現です。所得が低い人ほど負担感が重くなる逆進性や消費者の痛税感を緩和し、消費増税への理解を深めるため、従来から公明党が主張してきた複数税率を中心とした軽減税率の導入を実現すべきです。年末の与党税制改正大綱の取りまとめに向けて合意を得ていきたい。
また東日本大震災から4年半が経過しました。復興は着実に進んでいますが、いまだ約20万人の避難者がいるという現実は変わりません。引き続き、被災者の生活の再建、人間の復興に取り組んでいきます。また、今回、政府・与党で合意し、16年度から5カ年の「復興・創生期間」に実施する新たな復興支援の枠組みが決まったことは重要です。確実に具体化していきたい。
一方、関東・東北豪雨についても、8人が亡くなり、今でも多くの方が避難所生活を余儀なくされています。特に、農業被害は、約1万8000ヘクタールの農地が浸水し、明らかになっているだけで約180億円の被害が出ています。被災地の復旧・復興のため、どこまでも被災者に寄り添って、総力を挙げて支援していきます。
―いよいよ来年は参院選になります。
井上 すでに第1次公認8人(選挙区3、比例区5)を発表し、今月12日に開催した党全国県代表協議会で明年の勝利に向けて前進のスタートを切りました。全議員が総立ちとなって、日常活動を強化する中で党勢拡大に奮闘していきたい。