eコラム「北斗七星」
- 2015.09.28
- 情勢/社会
公明新聞:2015年9月28日(月)付
日本には「道」が多い。伝統芸能である茶道、華道、香道の三道や、相撲道、野球道だけではない。新聞道という言葉もある◆日本新聞協会(新聞社、放送局などが加盟)の旧新聞倫理綱領(1946年制定)には、「故意に真実から離れようとするかたよった評論は、新聞道に反することを知るべきである」と記されている。戦後、日本の新聞などメディア業界は、戦争に協力した反省から、自由や節度、公正や責任を銘記し再出発したのである◆新聞道という言葉は2000年に改訂された現在の綱領で姿を消したが、その精神は受け継がれていると信じたい。だが、偏った論評や誤解を招く記事は絶えない。平和安全法制に関しては、ドイツが集団的自衛権の行使で、アフガニスタンで犠牲者を出したとか、安倍首相が国会答弁で「先制攻撃」を容認したかのような報道もあった◆いずれも後に、弁明や反省の記事が掲載されたが、影響は大きい。フェイスブックやツイッターなどで、瞬時に"誤報"が拡散してしまうからだ◆何が正確な情報なのか、判断が難しいネット時代。「新聞は報道・論評の完全な自由を有する。それだけに行使にあたっては重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない」(現綱領)はずである。(山)