e平和安全法制 民主的な運用へ万全の準備を

  • 2015.10.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年10月5日(月)付



「平和安全法制の運用の過程を民主的統制の下に服させ、国民の理解を得られるよう努力する」―公明党の山口那津男代表は国会承認などの民主的統制の重要性を強調し、与党として法運用に向けた準備に真剣に取り組む考えを表明した。9月30日に公布された同法制は、6カ月以内に施行される。


民主的統制とはシビリアン・コントロール(文民統制)のことである。政治と軍事を分離し、政治の軍事に対する優越を確保する。文民である首相と防衛相の下に自衛隊が置かれ、国会が首相と防衛相の責任を問い、防衛予算を決定し、安全保障政策を監視する。自衛隊に武力行使を認める防衛出動を承認することも国会の役割である。この文民統制は平和安全法制でも堅持されなければならない。


現行法制では防衛出動だけでなく、武力行使以外の目的であっても自衛隊を部隊として海外に派遣する特別の場合にも国会承認が必要になっている。国会によるこの民主的統制は、平和安全法制の中でもさらに強化された。


例えば、国連決議の下で国際社会の平和のために行動する外国軍隊に対し、自衛隊が後方支援をする場合、"例外なき国会の事前承認"が派遣の条件にされた。


また、防衛出動は日本への直接の武力攻撃が発生した武力攻撃事態だけでなく、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、それにより日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある存立危機事態でも認められた。両事態とも自国防衛であり、存立危機事態が憲法に反する他国防衛のための集団的自衛権の行使に当たることはない。


しかし、与党と3野党の協議の結果、武力攻撃事態と存立危機事態はほとんど重なり合う事態であるにもかかわらず、例外的に存立危機事態だけを認定して防衛出動を行う場合は、日本が武力攻撃を受ける前であるため"例外なき国会の事前承認"とされた。


与党と3野党の合意の中では、自衛隊の活動の常時監視、事後検証のための国会の組織のあり方も議論されることになった。文民統制を強化する重要なテーマだ。与野党の活発な議論を期待したい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ