eコラム「北斗七星」

  • 2015.10.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月6日(火)付



一つのマスの中に、縦3点、横2点の六つの凸点の組み合わせで構成される点字。フランスの青年が考案し、日本では1890年、盲学校教師による翻案が正式に採用された。今から125年前のことである◆点字は全て横書き。左から右方向に、指先で凸面を追っていく。各マスにおける五十音の配列などを覚えれば、人の手を借りずに活字を読むことができる。それ自体、画期的だったが、当時、肝心の読み物の量は心もとない限りだった◆病気が原因で、幼少期に失明した本間一夫氏は函館の盲学校時代、一冊の本と出合う。ロンドンには世界一大きな点字図書館があり、書棚を連ねると約5.6キロメートルにもなると記されていた◆自著で彼は「こんな立派なやりがいのある仕事が、まだ残されている」(「指と耳で読む」岩波新書)と、自らの使命に思いをはせ、胸躍らせた場面をつづっている。彼が設立した日本点字図書館は来月10日、75年の節を刻む◆公明党が年2回発行する「点字こうめい」。本間氏からは生前、他誌では転載ものが多い中で、「すべてオリジナル原稿というのはありがたいし、それだけ心がこもっている」と感想を寄せていただいたことがある。来月発刊分で35年を迎える。読む喜びを待ち望んでくださる方に末永くお届けしたい。さらに心を込めて。(広)

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