e子どもの貧困 官民挙げて未来に投資しよう

  • 2015.10.08
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年10月8日(木)付



子どもの約6人に1人は貧困状態、これが日本の現状だ。平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもは、1985年には約9人に1人だったが、長引くデフレ経済で子育て世帯の所得が減少した影響もあってか、右肩上がりで推移。2012年の最新調査で過去最悪を記録している。


そんな状況を打破すべく、官民を挙げた取り組みが活発化している。1日には、公明党の主張を受けて発足した「子供の未来応援国民運動」(事務局=内閣府、日本財団など)が本格始動した。


国や自治体の支援情報を検索できるホームページ(HP)を立ち上げ、NPOなどに対し民間からの寄付金を活用して助成を行う「子供の未来応援基金」を創設した。


HPは、例えば「高校に行きたいけどお金が無い」など、具体的に悩んでいる項目を選ぶと、支援事業の名称や窓口の電話番号が表示される仕組み。新設した未来応援基金には、1000円単位で寄付することができる。


どんな支援があるかを知らなかった人たちがHPを通じて情報を得やすくなった点は歓迎したい。ただ、中には誰にも悩みを相談できず、HPを使って支援策を調べる余裕がない人もいるだろう。


そうした観点では、文部科学省の来年度予算概算要求に、福祉や教育の専門家チームが貧困家庭を訪問して相談に乗る施策が盛り込まれたのは画期的だ。同省は来年度、全国40自治体に事業委託し、それ以降も徐々に実施自治体を広げる方針だ。


独自の事業を行う自治体もある。東京都足立区は貧困の実態を明らかにするため、区立小学校1年生の家庭を対象に、保護者の収入や子どもの生活習慣などを調べている。NPOが貧困でおなかをすかせた子どもに食事を提供する活動も全国に広がっている。


貧困家庭で育った子どもは医療や食事、学習などで不利な状況に置かれ、大人になっても貧困を抜け出せない傾向にある。逆にいえば、適切な支援で"貧困の連鎖"を断ち切れば、一人一人に大きな可能性が生まれるということだ。政府も民間団体も貧困対策を未来への投資と捉え、一層の支援に力を注いでほしい。

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