e廃炉(東電福島第1原発)加速の先端拠点
- 2015.10.14
- 情勢/社会
公明新聞:2015年10月14日(水)付
楢葉町で待望の開所式へ
国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想が始動
東京電力福島第1原発の廃炉に向けた研究開発の拠点施設「楢葉遠隔技術開発センター」(日本原子力研究開発機構=JAEA)が19日、福島県楢葉町で待望の開所式を迎える。
同センターは、福島県浜通り地域に先端産業を集積する「イノベーション・コースト(国際研究産業都市)構想」の主要プロジェクトの一つ。同センターの研究は環境やエネルギーなど幅広い分野に応用され、産業創出による福島再生のけん引役にとどまらず、日本経済の成長にもつながるとして関係者の期待は大きい。
センターは、作業者の訓練などを行う研究管理棟と、放射線量が高い原子炉建屋内の調査や除染に必要な遠隔操作機器(災害対応ロボット)の開発実証試験などを行う試験棟で構成。
特に第1原発の廃炉に向け、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し準備が最重要課題であることから、試験棟に原子炉格納容器下部の一部を模した実寸大の模型を設置し、冷却水漏えい箇所の補修・止水技術の実証実験を行う。
このほか、研究管理棟には、原子炉建屋内の環境をコンピューター内に仮想空間として作り出し、作業工程を疑似的に体験できる最新システムを導入。作業者の訓練を実践的に行うことが可能となる。今回は研究管理棟が完成したことで一部運用が開始され、試験棟は2016年4月からの運用開始が見込まれている。
公明党はイノベーション・コースト構想について、党内のプロジェクトチームで集中的に議論。現場関係者との意見交換なども踏まえて強力に推進する中で、与党の第5次復興加速化提言や、6月に閣議決定された福島復興指針の改定版にも盛り込まれた。
世界的な役割果たす
原子力災害現地対策本部長 高木陽介 経産副大臣
楢葉遠隔技術開発センターはイノベーション・コースト構想の主要プロジェクトの一つであり、福島の復興加速の拠点としての役割が求められます。
事故炉の廃炉という世界に類のない事態に立ち向かうためには、国内外の英知を結集する必要があります。この施設は、多くの研究者に利用していただき、廃炉や福島復興に資することが第一の目的。さらに、国内外の企業や大学、研究機関が連携してさまざまなロボット技術を共同開発してもらうことで、世界的な研究拠点の役割を果たすことも期待されています。
イノベーション・コースト構想は、公明党の赤羽一嘉衆院議員が経済産業副大臣の時に研究会を立ち上げ、廃炉というマイナスからゼロへの施策をさらにプラスに展開するためにまとめました。構想具体化の象徴として、センターが被災者の皆さまの光明となるよう政府が一丸となって支援していきます。