eコラム「北斗七星」
- 2015.10.19
- 情勢/社会
公明新聞:2015年10月19日(月)付
テレビのニュースでは、「木を見て森を見ず」の事例が少なくない。平和安全法制をめぐっては、全体像の説明がないまま、全国各地で反対運動が渦巻いているかのような印象を与えた。消費税の軽減税率についても、"何が重要か"を置き去りにしたような報道もある◆軽減税率を題材にした"物語"は単純だ。「手続きが面倒で事業者に負担」「予定した税収が減る」「連立与党の公明党に配慮」。そんな語り口に、その日の動きを加えれば、作品は完成する◆欧州諸国や韓国で、軽減税率は定着している。消費税率の引き上げは現在の社会保障制度を持続させるためだが、所得が少ない人ほど、痛税感が大きい。これを少しでも緩和するため、連立政権は、飲食品を中心に軽減税率の導入をめざしているのである◆個人消費は、国内総生産(GDP)の約6割を占め、勤労者世帯の一世帯当たりの消費支出は、可処分所得の8割を超えている(今年8月分速報)。税率アップに際しては、景気対策とともに、軽減税率を導入して消費の急落を防ぎ、日本経済の失速を阻止しなければならない◆テレビ報道は、肝心なことを丁寧に論じるよりも、短時間で視聴者の心をつかむことを重視しがちだ。軽減税率についても、ニュースを見極め、隠れた論点を読み取っていきたい。(山)