e非常任理事国入り 国連で平和国家の存在感示せ
- 2015.10.19
- 情勢/解説
公明新聞:2015年10月19日(月)付
来年1月から2年間、日本は国連安全保障理事会の非常任理事国を務める。15日の国連総会で史上最多の11回目の安保理入りが決まった。
安保理は「国際の平和と安全の維持」に責任を持つ。そのため、安保理の決議は国連総会決議と違い法的拘束力が認められている。平和と安全を脅かす全ての問題を迅速に取り上げ、対策を協議する国連の中枢である。日本の平和外交の力量が問われる場だ。
国連のハク事務総長副報道官は、日本の安保理入りについて「日本は平和と安全、国連の開発目標に関わる行動を通じて支持を勝ち取ってきた」と述べた。
「平和と安全」について日本は、1992年から国連平和維持活動(PKO)に参加し、さらに人道復興支援や紛争後に「平和の定着、国造り」をめざす平和構築活動で確かな実績を重ねている。イラク復興支援では地域社会と話し合い、協調して活動を進める"自衛隊モデル"が国際社会から高い評価を受けた。
また「国連の開発」については、「人間の安全保障」を開発の理念として国連に定着させた。紛争やテロの温床となる貧困や人権侵害を根絶するため、雇用創出や教育、公衆衛生の普及を進めることで人間一人一人を恐怖と欠乏から解放する。これが「人間の安全保障」の理念である。国連総会は2012年に「人間の安全保障決議」を採択し、この理念を確認した。
国連は現在、「平和と安全」について、PKOの中で非政府組織(NGO)などの文民をどう保護するか、また、「国連の開発」については、来年から貧困絶滅をめざして始まる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にどう取り組むかという重要テーマに向き合っている。
日本は9月に成立した平和安全法制の中で、文民保護のための駆け付け警護を自衛隊のPKO要員に認めた。また、「アジェンダ」に「人間の安全保障」が中核に据えられたことを受け、世界各地で質の高いインフラ投資を実施することを表明している。時宜を得た政策である。
平和と開発の課題解決に向け、日本は安保理メンバーとして平和国家の存在感を示すことが期待される。