eコラム「北斗七星」
- 2015.10.20
- 情勢/社会
公明新聞:2015年10月20日(火)付
公明党の谷合正明参院議員から、先頃、ヨルダンのシリア難民キャンプやパレスチナ自治区ガザ地区を視察した際の話を聞いた◆イスラム原理主義組織「ハマス」が実効支配するガザ地区への政治家の入域は至難だったという。パレスチナ難民支援という人道目的であり、中立な日本の、信頼できる公明党だから、とパレスチナ自治政府、イスラエル政府の双方が例外的に入域を許可したらしい。平和の党・公明党の面目躍如である◆世界の各地で紛争が続き、恐怖と欠乏の下で苦しんでいる人々がいる。シリア内戦の死者は25万人を超えた。世界中の難民・避難民は約6000万人にも上る◆広島市立大学広島平和研究所の吉川元所長は近著『国際平和とは何か』の中で、冷戦終結以降、戦争様式が激変し、従来の平和観も、伝統的な安全保障観も通用しなくなったと指摘する。「平和と人間の安全保障の両立を指向する複眼的平和思想への転換が今まさに求められている」とも◆哲学者カントは著作『永遠平和のために』で、自然状態は平和ではなく戦争であると説き、「平和状態は創設されなければならない」と論じた。人間の安全が脅かされるこの世界で、平和は当たり前の状態ではない。不断の努力で築き上げるものだ。戦争反対を叫んでいれば到来するというものではない。(中)