e日韓の安全保障協力 交流拡充で信頼関係の強化を
- 2015.10.22
- 情勢/解説
公明新聞:2015年10月22日(木)付
日本と韓国の防衛交流が、再び前に進み始めている。
18日に行われた海上自衛隊の観艦式には、韓国海軍の艦船が初めて参加。20日から3日間の日程で中谷元・防衛相が訪韓し、韓国の韓民求・国防相と会談した。日本の防衛相が韓国を訪問するのは、実に4年9カ月ぶりだ。中谷防衛相とともに、斉藤治和・航空幕僚長も航空自衛隊のトップとして6年ぶりに訪韓した。
従軍慰安婦問題や靖国神社参拝などの歴史認識問題と、島根県・竹島(韓国名・独島)をめぐる領土問題の影響で、日韓関係は冷え込み、両国の防衛当局間の交流も長らく途絶えていた。交流の再開を、日韓の安全保障協力の強化につなげていきたい。
東アジアの平和と安全を維持するには、両国の緊密な連携が不可欠である。
日韓は米国の同盟国であり、米国との同盟を通じて、日米韓の3カ国は「準同盟」的な協力関係にある。それ故、両国の防衛相が4年以上も会わなかったというのは、異常な事態であったといえよう。
残念なのは、20日の日韓防衛相会談で、東アジアにおける安全保障上の懸案に日米韓が協力して対処していくことで一致しつつも、日韓が防衛情報を共有するのに必要な軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結については、進展がなかったことである。
日本は米国や英国、フランス、オーストラリアなど多くの国とGSOMIAを締結しているが、韓国とは未締結である。例えば、北朝鮮によるミサイルの発射を韓国がいち早く察知した場合、その情報を日本が得るには、韓国から米国に提供された後に、米国から日本に送られてくるのを待たなければならない。日米韓の迅速な連携を妨げる"穴"の開いた状態であり、締結を急ぎたい。
韓国が日本とのGSOMIAの締結に難色を示しているのは、国内の反日感情と、関係を強めている中国に配慮しているためであろう。
日韓の安全保障協力を強化していくためには、防衛交流の活発化とともに、幅広い人的交流も進めていきながら、韓国との信頼関係を強めていく必要がある。同時に、中国との友好関係も深め、理解を得ていくことが重要である。